約 7,634 件
https://w.atwiki.jp/namunamu18/
正式名称 <念佛宗(念仏宗)三寶山無量壽寺> **1.概要 *** 総本山 兵庫県加東市上三草1136 三草山・・・・三草山は播州小富士とも呼ばれ播磨平野の北東隅にあり標高424m。 1184年に源義経が三草山西に陣取る平資盛(たいらのすけもり)を夜襲した「三草山合戦」で有名な所。 現在は東側から、畑コース・鹿野コース・三草コースと3ヶ所の登山道がある。山頂には三草神社が 建てられ、遠く明石海峡大橋や淡路島も臨める。また三草山は「ひょうご文化百選」にも選ばれてる。 2.教団 総本山(佛教之王堂)、別格本山(京都)を中心に全国九教区ある。 北海道、関東、東海、北陸、京都、奈良、関西、中国、四国、九州の九区で、三十三の別院がある。 うち、伽藍形式は福井別院、九州本山(大分)、大分三重別院などがある。 3.本尊 念仏宗(念佛宗)の本尊としては阿弥陀三尊佛(阿弥陀如来・観音菩薩・勢至菩薩)を挙げている。教典に関しては、 (基本)は一切経、(拠処)として、大無量壽経・観無量壽経・阿弥陀経・父母恩重経としている。 4.信仰の心得 念仏宗(念佛宗)無量寿寺の「信仰の心得」については、 次の12がある。 ①釈尊の教え(一切経)を拠処とし、真の佛教を実践する。 ②教団に誇りを持ち、世の全ての人々が真の安心を得ることを目指す。 ③五逆罪・正法誹謗を犯さぬこと。 ④他宗派を絶対に誹謗してはならない。 ⑤一人一人の信仰を守り、家族円満、ご先祖を尊び、子々孫々へ伝える。 ⑥信仰とは、安心を与え、共に喜ぶものである。強制強要をしたり、脅かして不安を与えてはならない。 ⑦信心のお勧めや布施のお勧めは、本人の自由意志を尊重し、誠実に対応すること。 ⑧人としての道「四恩」を実践する。 ⑨他人の批判より先ず、自らを省み、和を基として信義・礼節を重んじる。 ⑩説法会・輪読会では、信仰以外の会話を慎み、心を清浄に保つ。 ⑪三宝(仏・法・僧)帰依の初心を忘れず、命終まで信心を保つこと。 5.信仰についての考え方 念仏宗無量寿寺(念佛宗)の信仰についての考え方は、次の通りである。 ・信仰の原点はお参りにあり。信仰は、お参りに始まり、お参りに終わる。 ・佛縁の始め 総本山・別院への「お参り」。 日々 総本山・別院への「お参り」 目的は、命終を迎え、浄土への「お参り」 ・「お参り」とは ①魂の古里 初心に返る ②佛縁を重ね重ね結ぶこと ③佛恩に報いること ④大いなる喜びの精進 「地蔵盆」念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂」(2 46) 本尊 佛教教典 公式ホームページ 別院 知る 紹介 物語 日記紹介 @Wiki念佛宗(念仏宗無量寿寺)念仏宗 リンク集 兵庫県加東市上三草1136番地 総本山「佛教之王堂」を中心として北は北海道から、南は九州まで、日本全国に三十三の別院がある。 <本尊> 阿弥陀三尊、阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩 <経 典> (基 本)一 切 経 (依 処)浄土三部経、大無量壽経、観無量壽経、阿弥陀経、父母恩重経 公式ページ 念佛宗 念佛宗 - nifty 念佛宗 三寶山 無量壽寺 佛教之王堂 念仏宗 仏教之王堂 【世界最大 ... ブログ 念佛宗(念仏宗)の七不思議 知恩院 念佛宗(念仏宗) - livedoor Blog 仏教って? 念佛宗(念仏宗)って? お寺に込められた教え~念佛宗~ 浅草での仏教体験 -念仏宗無量寿寺も将来・・・- 心の転機 (仏教への目覚め、出会い) 佛教(仏教)との出会い(念仏宗無量寿寺) 教化 仏教とは..。念仏宗(念佛宗) ウィキ 念仏宗無量寿寺(念佛宗)総本山 佛教之王堂 総伽藍 念佛宗@atwikiのホームページ 動画紹介 You-Tube 念佛宗 念仏宗無量寿寺 佛教之王堂 動画集 念佛宗 念仏宗無量寿寺 佛教之王堂 動画紹介サイト ミャンマー法王の御参詣動画 物語 ぼくとわたしのほとけさま〜こころ花〜 みんなの絵本【念佛宗(念仏宗)】 念佛宗(念仏宗無量寿寺)念仏宗関連リンク集 物語 FaceBook 念佛宗【念仏宗】無量寿寺 佛教之王堂 三国伝来の仏教美術 念佛宗(念仏宗)無量寿寺 佛教之王堂 Buddhist art 불교미술 知恵袋 念佛宗(念仏宗 無量寿寺) 総本山 佛教之王堂 「地蔵堂」 (念仏宗三宝山無量寿寺) Naver 念仏宗 無量寿寺(念佛宗) 総本山 兵庫県加東市のまとめ 念仏宗無量寿寺(念佛宗)に関するブログのまとめ - 2ch(2ちゃんねる)は本当ですか? とある新興宗教の施設がすごすぎると話題に【念佛宗】 まずはこちらをご覧ください。 @wikiの基本操作 用途別のオススメ機能紹介 @wikiの設定/管理
https://w.atwiki.jp/sexyvoice/pages/314.html
クリスマスって、みんな浮かれてるけど、どんな意味があるんだろう。 私の家では一応クリスマスツリーやリースを飾ったりするけど、 別にイエス・キリストの誕生日だとか、聖なる日だなんて考えてない。 そもそも、私の家族はクリスチャンではないのだ。 (中学の時に亡くなったひいじいちゃんはクリスチャンだったけれど。) 神社やお寺に行けばお賽銭を投げて手を合わせるし、流行りのあやしげなお守りを買うこともある。 節操無いなと思うけど、友達の家も大概こんな感じらしい。 大人は本当は寂しがり屋だから、みなお祭り騒ぎがしたいのだろう。 お祭り騒ぎをする理由は一つでも多い方がいいと、昔の誰かが考えたのだ。 ロボは理由なんか無くてもお祭り騒ぎをやっちゃう大人だけれど 彼にとってクリスマスは子供の頃から神聖な意味があったらしい。 それは、サンタのおじさんが年に一度、自分に大好きなロボットをくれる日だから。 この日のために一年間、どのロボットを頼むのか子供なりに悩み続け、選びに選んで サンタクロースを待つ、ドキドキが止まらない日。 だけどサンタさんはうっかり者で、頼んだのと違うロボットを持ってくることも多かったそうだ。 ロボットに一喜一憂する自分を見る両親の顔と、なぜか母親がやたらロボットの名前に詳しいことが 結びついたのは、中学に入ってからだとロボは言った。 「クリスマスは、うちで一緒にパーティーしよ~。ねー、ねーってばーニコー」 ロボは甘ったれた口調でせがむ。 「もう一人寂しいクリスマスはヤダ。 俺、ニコとばかり遊んでるからずっと独り身なんじゃん!責任取ってよ」 「はぁ? 別にロボがもてないのは私のせいじゃないし」 「ニコが来てくれなかったら病気になる!」 「何それ?」 「寂しくて心が寒ーくなって熱が出て、鼻水も出て咳も出て絶対病気になる!! どうするんだよぉ、全部ニコのせいだぞ」 「…はいはい、わかりました。行きますよ」 「本当?やった!実はもう三角帽子とかシャンパンとか買ってあってさ。 シャンパンはちゃんとアルコール抜きのにしといたからねー。 あとはさー 飾り付け用の折り紙でしょ、風船でしょ… デパートでチキンとサラダも予約したし、奮発したんだよ。 一緒にアニソンカラオケしような!あ~楽しみだなぁ!」 …どこの子供のクリスマス会だよ。20代サラリーマンの発想じゃないだろう。 でも私は雑誌に出てるようなオシャレなクリスマスを思いつかないロボを、いいなと思う。 そんなわけで、今日はクリスマスイブ。高校は終業式で午前中に終わり、 (半ば強制的にせがまれて)私はロボんちにケーキを焼いて持っていくことになった。 一海ちゃんは彼氏とデート。お父さんとお母さんは日帰りの温泉旅行に出かけ、 好都合にも誰もいないキッチンで、なかなか泡立たないメレンゲと格闘していた。 オーブンでちょっとやけどしたりしつつも、なんとか無事に焼き上がって、 デコレーションが終わった時には、初めてにしてはなかなかじゃん、 私もしかしてケーキ作りのセンスあるかも?と満足した。 すると、どこからともなく矢が飛んできて、苦労して出来上がったばかりのケーキの中心に グシャっと音を立てて刺さったのだ。 「うそーーーーーっ!! ありえない…」 それが今回の事件の発端だった。 「ちょっとこれ、どういうことですか! まともな方法で連絡してって、何度言えばわかるんですか!」 私は怒りで震えながらクリームまみれの矢を持って地蔵堂に怒鳴りこんだ。 「あら~ケーキに刺さっちゃったのー。ごめんなさいね。でも、あなたに刺さらなくて良かったじゃない」 「あ た り ま え で す!何考えてるんですか!」 「こっちも緊急事態だったのよ。小学生の男の子が誘拐されてね、脅迫電話がかかってきたから なんとかして欲しいって依頼が来たの」 「誘拐?」 ケーキを台無しにされた怒りはまだ納まらなかったけど、穏やかでない話に私は言葉を飲み込んだ。 「よっちゃん、おねがい」 「はい」 よっちゃんは録音機材の再生ボタンを押す。 ーーー「もしもし?もしもし?」「お父さん?僕」「わたる、どこにいるんだ?」「わかんない」 「息子の無事はわかったかな」「金か?いくらだ?」「金じゃないと言わなかったか」 「どうして、」「要求を飲むか、わたるの葬式かだ。交渉はしない」「待て、なぜそんな」 ブツッ ツーツーツー ーーー「もしもし」「これが最後だ」「待ってくれ、わたるは無事か」「今はな」 「要求に従う、しかし理由を教えてくれないか、もしも」「交渉はしないと言っただろう」 「待て、要求通りにしたらどうやってわたるを」「交渉はしないのだ」 「もしもし、待ってくれ、もしもしっ」 ブツッ ツーツーーーーーーーーーーー 「これって、警察に届けた方がいいんじゃないですか」 「警察に届けられない話だからうちに来たのよ」 「でも、そんなこと言ってる場合じゃ」 「目的はお金じゃないし、出来れば内密にすませたいんでしょう。 平たく言うと依頼人、子供の父親はヤクザがらみの人間なのね。 この録音の声を聞いて、分かることはない?」 私はもう一度再生した声に耳を澄ませた。自分の記憶に残っているあらゆる声を検討して、 似た声、似た喋り方を思い出し、比較する。 「なんか…台本っぽいっていうか、わざとらしいって言うか、要求する自分に酔ってる感じがする。 決めセリフを言いたくて、そのために話をしてるような。でも下手くそ」 「そうね。あらかじめセリフを用意しているようね」 「たぶん、年齢はまだ若いと思う。20代で、体型はちょっと小太りで…」 「なるほど」 「で?この犯人の要求は何なんですか?」 「原宿の俵参道のクリスマスイルミネーション。今夜6時に点灯する予定のそれを消せ、と」 「はぁ? それだけ? そんなので子供を誘拐したんだ?」 「父親は俵参道商店会を仕切ってる顔役なの。とりあえず今のところは点灯中止の予定よ。 遠くから来る見物客もいるからかなりの損害だけどね。犯人の動機は何かしら?」 「クリスマスが嫌いとか?過去にイヤな思い出があったとか? よくわからないな。 でも……。この犯人、本当に要求どおりになったらどうするか考えてなさそうです。 世間を騒がせてみたいだけで、手の引き方まで考えていない気がします。 本当にイルミネーションを中止したとしても、子供の解放の方法とか、 自分でもわかってないんじゃないかな」 「そうね。今は『誘拐犯』を演じるのに夢中だけど、舞台に幕が降りたらどうするつもりかしら」 そしたら。この子供はどうなる? クリスマスイブまで変な事件に巻き込まれたくはない、ロボとの約束もある。でも。 私は観光客目当てのイルミネーションなんか正直どうでも良かったけれど みんなが浮かれてるクリスマスにどこかの子供が人質になっていて、 暗くて怖くて、お腹をすかしてるかもしれなくて… そんなのはイヤだ。 もう一度録音テープを再生した。その時、ある「音」が耳に入った。 「あの。私、手がかり見つけたかもしれない」 「この仕事、頼んでもいいのね?ニコ」 「イルミネーションの点灯中止は発表しないで貰えますか。 私が連絡するまで、うやむやにして引き延ばして下さい。 それから、もし夜10時までに連絡出来なかったら、警察に行って下さい。 よっちゃんを借りていきます。」 よっちゃんはそうこなくっちゃ、と言いたげにニヤっと笑った。 『もしもしロボ?』 「ああ、ニコ? 何時ごろ来れる? まだ部屋の飾り付けが終わらないんだけど、 料理はもう準備したから。あのさーニコはサンタ帽子トナカイ帽子、どっちがいい?」 『ごめん、パーティーは中止!ロボ出動だよ!今すぐおしり喫茶の前に車で来て、 早く来て、大至急来て、待ってるから!』 「ええっ 中止って。なんでぇ~? 俺すっごく楽しみにしてたのに~わけわかんない~」 『だからごめんってば。いいから来てよ!事件なの、ロボの手が必要なの』 「なにそれー。だってせっかく炊き込みごはんとかも作ったのに、 美味しいんだよ俺の炊き込みごはん、昨日の夜からしいたけとか鶏肉とか下ごしらえしてさ、」 『お願い、誘拐されて可哀想なクリスマスを過ごしてる子がいるの! 救えるのは宇宙で私だけなの!』 ニコは一方的に言うと電話を切った。 「えー事件って。そんなぁ。だってずっとニコとクリスマスするの楽しみにしてたのに…」 ロボはがっかりしながら、ニコへのプレゼントを手に取った。 (俺にとってクリスマスは子供の頃から奇跡の日だったから。 きっと照れくさくて言えなかった言葉も素直に伝えられるって思った…) 一週間かけて作った針金細工の花の形のブローチ。中心には小さな翡翠をはめてある。 本当は五月の誕生石のエメラルドにしたかったけど、それは予算オーバーで無理で、 だけど作っている間中、幸せな気持ちでニヤニヤしてた。 「なんなんだよぉ、人の気も知らないで、あのじゃじゃ馬は! くそー、くそー、……宇宙とか言われるとときめくじゃないか!」 ロボは名残り惜しそうにテーブルに並べた料理や、飾り立てた部屋を眺め、 意を決してブローチを肩掛け鞄に突っ込むと「ロボ、出動しまーす!」と叫びながら部屋から飛び出した。 ロボの車で原宿方面に移動しつつ、私は気がついたことを二人に話した。 「1回目の脅迫電話は静かだけど、2回目は雑音が聞こえるでしょ。 屋外で、近くにいる人が携帯電話で喋ってる声だと思う」 「なんか声は聞こえるけど内容まではわからないな」 「私わかる。『今俵参道のモリハナコビルの前なんだけど』って言ってる。 犯人は、イルミネーション中止でがっかりする人達を見物に来てるんだよ」 「うげ、屈折してんなー、何が楽しいんだか」 「でもさ俺、なんとなく理解できる気がするなぁ。 その人、街がキラキラしてみんな幸せそうなのに、自分は孤独で心が細ーくなって ポキッと折れて曲がっちゃったんだよ」 「誘拐犯に共感してんじゃねーよ」 「この人、まだモリハナコビル周辺をうろうろしてると思うんだ。 私が耳で探すから、ロボとよっちゃんは取り押さえるの手伝って。 ここまで場所を特定できれば、なんとかなると思う」 何度か俵参道を車で往復し、特にモリハナコビル周辺をゆっくりぐるぐる廻った。 「ニコ、どう?」 「うーん、まだわかん…ない…」 あまり俵参道なんて来たことなかったし、年末はこんなに人が多いなんて知らなかった。 ちょっと甘く考えていたかも。この人混みで本当に見つけられるのか。 でも、犯人の声しか手がかりが無い今、救えるのは宇宙で私だけ。 頑張れ林二湖、耳をすませろ、集中しろ。 頭の奥がズキズキしてくる。 自分の中に音が光と一緒に流れ込んでくるイメージを思い描き、 レーダーをひろげるようにその範囲を拡大させた。 (……やっぱさー…昨日ね…例の店で…そういうわけ…) あらゆる声が流れ込んで来る。 「ニコ?」 「黙って」 (…あのさぁ…) 一筋の音が頭の中で光った。 「…見つけた! 車停めて!」 私は2CVのドアから転がり出るように飛び出すと、声の方角目指して走った。 すかさずよっちゃんが走って追ってくる。 ロボは、「こぉんなとこに停めたら駐車違反で減点だよーーー!」と 情けない声で文句を言いながらも、すぐに追いついてきた。 俵参道では、「イルミネーション点灯は予定より遅れます」というスピーカー放送が流れはじめた。 一斉に不満げな声を漏らす見物客のざわめきに掻き消され、私はまた声の方向を見失った。 ええい、いちかばちかだ。 「キャー、ごめんなさーーーい!」と言いながら、人混みに押されたふりをして周りの人を押す。 「痛っ」「なんだよ」「気をつけろっ」「危ねー」「やだぁ」 ドミノのように人が次々によろけて周りに声が広がる。 どこ、どこにいる? あの声。いた! 「あの、すいませんすいません」私のかわりにロボが頭を下げて回る。 「おいどっちだ」 「あっち!」 今度は後ろ姿をしっかり確認した、髪を結わえてちょっと小太りな男。 人をかき分けて、追跡を再開する。 男はラフォール前の交差点で、信号が点滅しかけた横断歩道を小走りで渡っていく。 私は赤信号に変わった道を強引に突っ切ろうとして、車にぶつかりそうになった。 「危ねぇ!なーにやってんだよ!」よっちゃんに慌てて腕を掴まれる。 「だって、また見失っちゃうよ!」 「あれ、あのバカは?」 振り返るとロボは、10mくらい離れたところに立ち止まって、何かを拾い上げていた。 「これ、あの犯人が落としてったんだけど…」 街頭で配っている広告入りティッシュらしい。 ロボはニヤっと笑った。 「犯人を誘い出す方法、わかったーっ!」 「おいロボ、あいつ、本当にそこ(テレクラ)にいるのかよ?」 「絶対いる。クリスマスのイルミネーションを消して、みんなががっかりするのを 見に来る奴なんて、女の子にモテない奴に決まってるって! でもこの犯人、今は誘拐犯で悪い男気取りの自分に酔ってて、自信があるわけ。 そーゆー時はね、誰かに特別な自分を見て欲しい、話を聞いて欲しいとか思うもんなの!」 「ふーん。さすがに元祖モテない奴の言うことには説得力があるねぇ」 「二人とも声が大きいよ。聞こえちゃうじゃん」 私は広告のテレクラに何度目かのリダイヤルをして相手が受話器を取るのを待った。 声は普段と違うセクシーボイスを作る。 「もしもし?」 『もしもし』 キタ。あの声だ。ロボの言ったとおり、あいつが出たよ! 私は二人に親指を立ててガッツポーズをしてから、振り返って会話を続けた。 「良かったぁ。あたしぃ、あなたみたいな声の人とお話したかったのぉ」 『え、そう?彼女、今どこにいるの?』 「今俵参道にいるんだけどぉ、イルミネーション見に来たのにまだ点灯しないしぃ、 なんか寂しくて、つまらなくなってぇ」 『俺もすぐ近くにいるんだ、ちょっと会わない?』 「ええーっ?少し怖いなぁ。あなた悪い人?」 『俺は…、ちょっと悪いかもね?』 「じゃあ、会おうかな~。あたしぃ、悪い男が好きなのぉ」 私は犯人と原宿駅前で待ち合わせをする約束を取り付けた。 「人質がいるところまで案内させるから、後はお願いね」 「必ずや任務遂行しマックス」 「プロフェッショナルにまかせとけって」 大丈夫かなあ。 「…あれ? なんか、若くない?」 待ち合わせで会った犯人は予想通り20代前半のおとなしそうな男だった。 外見だけならそんなに見苦しいわけじゃないのに、変に卑屈な雰囲気があって、 同じもてない系でもロボとは違う。 ロボは傷ついても失敗しても自分を見捨てたりしないけど、こいつは周りのせいにして恨むタイプだと思った。 「カズミちゃん、本当にハタチ?15歳くらいに見えるんだけど…」 失礼な。17だっつの。 「えーあたしぃ、ハタチの女子大生だよ?もっと若い方が良かった?」 「いやそういうわけじゃ…でもあんま若い子だといろいろ、さ」 なーにがいろいろだよ。下心見え見えすぎる。 ってか、子供誘拐して、すでに自分は犯罪者だっていう自覚無いのかこいつは。 「カズミ、たくさん歩いて疲れちゃったぁ。どこか静かなところでゆっくりしたいなー」 「じゃ、ほ、ホテル行く?」 いきなりそれか… 「ホテルよりもぉ、あなたのおうちに行きたい。近いんでしょぉ?人の家って面白いからぁ」 「え、うちは駄目!あの、弟、弟が遊びに来ててさ」 弟…やっぱ人質はこいつの家にいるんだ。 「わぁ、あたしぃ~子供大好きなの~!ぜひ弟さんに会いたいなー」 「駄目だって、ほら、うるさいし」 私は上目使いに犯人を睨んだ。 「おうちに連れてってくれなかったら、もう帰っちゃうよぉ?」 「…しょうがないなー」 犯人は私の腕をぐっと掴んだ。結構力が強い。腕力勝負になったらかなわないな。 そっと後ろを振り返る。ロボとよっちゃんの姿は見えない。 ちょっと心細くなる。ちゃんと付いてきてくれてるのかな… 犯人の家は一階がコンビニになった、小さなマンションの一室だった。 「お邪魔しまーす」 部屋には、ガムテープを口に貼られた男の子が、体を縛られて怯えて座り込んでいる。 …この子が、わたる君… 「えーっ、なんで弟さん縛ってるのー?えー!なんでぇ?」 「こいつ、いたずらしたからお仕置きで」 「可哀想。ほどいてあげて」 「いや、邪魔だから。おいお前、ちょっとここ入ってろ」 犯人は男の子をクロゼットに閉じこめるなり、いきなり私を押し倒そうとした。 「ちょちょちょ、ちょっと待って!」 「部屋にまで来て何言ってんの」 「だってほらあの、少しおしゃべりとかしようよ、そんな焦らないでさ」 「男と女がいたら喋るより先にやることあるじゃん、勿体ぶんなよ」 うわ何こいつ、ムカツク。女の子を何だと思ってるの。 「じゃあの、お酒、お酒とか飲もうよ、気分出るし、クリスマスイブだし」 「酒ー? ビールならあるけど?」 「ビールは嫌い、カクテルがいいな!買ってきて!お願い! えっとぉ、アタシぃ、お酒飲んだ時の方がサービスいいんだからぁ。ほら早く!」 犯人を追い出すように外にやると、急いでクロゼットに駆け寄ってわたる君を出す。 縛っている縄をほどこうとするけど、緊張で手に汗をかいて、なかなか上手くいかない。 「絶対助けるから、もう少しがんばって!」 わたる君は怯えながらも頷いた。 部屋の外で音が聞こえる。うっわ早すぎ!もう戻ってきたよ! そういえばすぐ下がコンビニだ。 私は咄嗟に子供を抱きかかえると、トイレに逃げ込んで鍵をかけた。 急いで携帯電話をかける。 「ロボ、すぐに来て!もう駄目、バレちゃう」 犯人は開いたクロゼットにわたる君がいないのに気づくと、私たちが隠れたトイレに近づいてきた。 「おい!おまえ、なにやってんの?」 ドアをすごい勢いでガチャガチャやっている。鍵が開かないとわかると、ドンドン叩く。 「ロボ!」 『ニコ!!場所がわかんないんだよ~!近くにいると思うんだけど、途中で見失って~!!』 「なにやってんのよ、役立たず!一階がコンビニのマンションで部屋は203!」 『一階がコンビニ、わかった!』 「お願い早く来て!」 「おまえナニモノ? 声違うし、俺のこと騙したワケ?」 犯人はトイレのドアを壊すほど勢いよく叩き始めた。 「誰と話してんだよ、開けろよ!!」 「あんたね!何考えてるのか知らないけど、誘拐なんてつまんないことやめなさいよ!」 「なんだと、おまえ誰だよ。何しに来たんだよ!」 「私はこの子を助けに来たスパイだよ、なんか文句ある!? 無意味な悪意を振りまいてたら、自分が騙されても何も言えないでしょ!」 「出てこい、てめえ!」 「出るわけないじゃん、バカ!」 犯人の怒声が大きくなる。 私はわたる君を抱きしめながら、軋むドアを必死におさえていた。 「あたたたたたーっ!!」ロボが奇声を発しながら玄関ドアを蹴破る音がする。 叫び声とドタバタした物音が聞こえて、静かになった。 「はぁー、もう命が縮んだよ…。見失うなんてひどいよー」 「ごめん~、よっちゃんが気づかれないようもっと離れろって言うからさ~」 「お前が無駄にでかくてうるさくて目立つせいだろが!」 「ったく…助かったからいいけどさ。 もしもし、社長? 人質の安全を確保しました。イルミネーション点灯してOKです」 犯人は男二人が自室になだれ込んでくるのを見て、窓から飛び降りて逃げたそうだ。 「すっげぇ小心者だったな。ま、これを頂いていけばいつでも落とし前は付けられますけどね」 よっちゃんは犯人の部屋から見つけ出した身分証明書をヒラヒラと掲げて見せた。 荒れた雰囲気の部屋を見て、ロボは呟いた。 「なんかさ、ちょっとカワイソウかも。きっと孤独な奴なんだよ」 「そう?全然可哀想だと思わないな」 私は正直に言った。 「遊びで誘拐なんかして、他人を暇つぶしの道具みたいに扱っちゃ駄目だよ… だからきっと自分自身だって大事に出来ないんだと思う」 わたる君は、緊張が解けたのかしゃくり上げて泣いている。 「もう大丈夫だよ、泣かないで」 「がんばったね、すぐお父さんとお母さんのとこに帰れるからね」 私とロボが交互になだめようとしたけど、わたる君の涙は乾きそうになかった。 「無理ねぇよ。この子にとっちゃ最悪のクリスマスだろ」 最悪のクリスマス、か。 この子が成長して子供時代のクリスマスを思い出す時、記憶に残るのは不安と恐怖で。 誰かに不当に傷つけられた記憶は、また別の誰かを傷つけて、連鎖していくのかもしれない。 そんなの……ヤダな。 「わたる君!おねーちゃん、サンタクロースに頼まれたんだ。わたる君を助けて、 プレゼント渡してくれって」 「…ほんと?」 「本当だよ。おねーちゃんはサンタクロースの友達なの、今、証拠見せてあげる」 私は、自分のポシェットからロボットのフィギュアを取り出す。本当はロボへの クリスマスプレゼントに買ったんだけど。ロボごめん…。 「サンタクロースにね、わたる君は強くてヒーローみたいだったって伝えておくね。はい」 「あ、ダイターン3じゃん!いいなぁわたる、こいつの持ってる槍は ダイターンジャベリンって言うんだけどさー」 ロボはたちまち食いついてロボット談義をはじめた。わたる君は泣くのを忘れて、一生懸命聞いている。 新しいガンダムはどうだこうだとか、あのロボットのここがいいとか、二人で話が盛り上がる頃には わたる君はすっかり笑顔になっていた。 「よっちゃんはイルミネーション点灯するの、見ていかないの?」 「俺はこの子を依頼人に送り届けて、さくっと地蔵堂に戻るわ。 社長が一人でクリスマスイブを過ごしてんの可哀想だろ。じゃ、おつかれさん」 なんだかんだ言って、よっちゃんは本当に社長が大事なんだなと思った。 光の帯が、木々の間に一斉に広がる。周りから歓声が漏れる。 「正直、イルミネーションなんてどうでもいいと思ってたけど、やっぱキレイだなぁ」 「うん、なーんか幸せな気持ちになるね」 「あのね、さっきあの子にあげたフィギュア、本当はロボへのクリスマスプレゼントだった」 「あー、やっぱそうなんだ。そうじゃないかと思ったよ~」 「ごめんね……」 「ちょっと残念だけどしょーがないな。あの場合は。うん」 「前にホビーショップに行った時、ロボずっとあれ見てたから」 「そうだっけ? そういうの覚えててくれて、俺のために選んでくれる人がいるだけで嬉しいかも」 ロボは少し笑った。 「それにさ。やっぱ小さい子のクリスマスが、怖くて辛いだけになっちゃうってイヤじゃない。 わたる君の思い出がさ、ダイターン3で少しでも救われるなら本望じゃん。 自分が傷ついた記憶のせいで、別の誰かを傷つけてしまうことってあるでしょ。 本当は傷ついた分優しくなれればいいんだけど、人間は弱いからさ…」 思わずロボの顔を見た。私と同じことを考えている。 どうしてロボは何も言わなくてもわかってくれるんだろう。 「これは、俺からのプレゼント」 ロボは私の手を取ると、何かを握らせた。そっと手を開くと、金属製の花が咲いている。 「わ、綺麗……」 「自分で作ったんだ。裏側見ると失敗してるとこ、分かっちゃうんだけど」 「すごいよ、ありがとう。本当の薔薇の花みたい」 「ううん、これニコだよ」 「えっ?」 「俺の中のニコのイメージを形にすると、こういう感じなの」 もう一度、繊細に光る花を見る。何故か涙が出そうになる。 クリスマスなんて、どんな意味があるんだろうって思っていたけど、もしかしたら大事な 誰かの存在と、その人と出会った偶然に感謝するためにあるのかもしれない。 「あれ?なんで泣くの?」 「泣いてないっ」 「だってさー」 「ロボ、やっぱもう一つプレゼントあったんだ。ちょっと目をつぶって」 「えー 何?」 「いいから早くつぶれってば」 なになに~?と言いながらロボは素直に目をつぶった。 私は背伸びをしてロボの頬の上に素早くキスする。 「メリークリスマス、ロボ」 ロボがとてもビックリした顔をしたので、自分のしたことが急に恥ずかしくなって 下を向いて困っていたら、ロボはふいに私の肩を抱き寄せて身をかがめた。 そして、少し震えながら、私の唇に不器用なキスをした。 「メリークリスマス、ニコ」 「あの、俺…」 ロボが何か言おうとした時に突然、携帯が鳴り出す。この着信音は…地蔵堂。 『ニコー、助けてくれぇぇ』 「よっちゃん?どうしたのっ?」 『社長がさぁ、暇だったらしくて、ローストチキンを5羽も作って待ってたんだよ~。 しかも全部真っ黒。おまえらこれ喰うの手伝ってくれよー もう鶏肉は見るのもイヤだ…』 「…だって。ロボどうする?」 ロボは大げさに溜息をつく。 「しょーがないなぁー。黒焦げチキンのためにまた出動かー」 「だったら、私の穴あきケーキもあの二人に責任持って食べて貰おうかな」 「それじゃ、俺の炊き込みご飯も持っていこうっと。やった、今からクリスマスパーティー出来るじゃん! 帽子とか風船も持っていこう!車で地蔵堂まで運べばいいよなー」 「あー!!ロボ、車は!?」 「うわっ 忘れてた!やばい、マックスダーッシュ!」 私たちは、聖夜の光に溢れる通りを笑いころげながら走った。 この街を、この世界を、醜くそしてとてつもなく美しい場所だと思いながら。 誰かと共に笑っている、その一つ一つが小さな奇跡だと思いながら。 この複雑な世界に住む全ての人々に、 メリークリスマス。 ****************** 終わり
https://w.atwiki.jp/shuinn/pages/2307.html
御朱印日誌17 平成23年10月から12月までにいただいた御朱印です。★印の神社仏閣では御朱印帳を頂きました。 H23.12.31 中山寺 H23.12.29 馬場都々古別神社、八槻都々古別神社★、石都々古和気神社、薬王寺、安積国造神社 H23.12.28 最上寺、八剱八幡神社、證誠寺、成就寺、光明寺、愛染院、選擇寺、成田山新勝寺、新勝寺平和大塔、新勝寺光明堂、新勝寺釈迦堂、成田山出世稲荷、本土寺★、東漸寺★ H23.12.27 宝勝院、大聖寺、大聖院、安房神社、洲崎神社 H23.12.25 長谷寺、大蓮寺、大岳院 H23.12.24 三佛寺皆成院、三佛寺正善院 H23.12.23 青岸渡寺、熊野那智大社、阿須賀神社 H23.12.18 正運寺、成圓寺、光縁寺、壬生寺、長円寺 H23.12.12 書写駅、水尾神社、姫路護国神社、射楯兵主神社、金剛城寺、神積寺 H23.12.11 調神社★、埼玉県護国神社、行田八幡神社★、達磨寺★、高崎白衣大観音★、高崎清水寺 H23.12.10 大聖院、麻賀多神社★、妙隆寺、松林寺、宗圓寺、甚大寺、嶺南寺、観蔵寺、高砂天祖神社、医王寺、宝生院、万福寺、題経寺、真勝院、良観寺、増上寺★、芝東照宮 H23.12.04 松尾大社★、月読神社、鈴虫寺、竹の寺、浄住寺 H23.12.03 伏見稲荷大社、伏見稲荷奥社奉拝所、伏見神寶神社、伏見稲荷御膳谷奉拝所、萬福寺、乃木神社、妙心寺大心院、仁和寺 H23.11.27 円通寺、高源寺★、洞光寺 H23.11.26 高山寺(西院)、武信稲荷神社、祐正寺、千本えんま堂、こぬか薬師、御金神社、高松神明神社、雲林院、大徳寺芳春院、百万遍知恩寺、日吉神社、宗忠神社、極楽寺、本能寺龍雲院 H23.11.23 阿部野神社、止止呂支比売命神社、妙国寺、菅原神社、開口神社、宿院頓宮、南宗寺、石津神社、石津太武神社 H23.11.20 仲源寺、安養寺、長楽寺、雙林寺、大雲院、青龍寺、霊明神社、六道珍皇寺 H23.11.19 永源寺★、金剛輪寺★、百済寺★、西明寺、多賀大社 H23.11.13 豊崎神社、長柄八幡宮、守居神社、都島神社、楯原神社、如願寺、大念仏寺、全興寺 H23.11.12 花岳寺★、大石神社、神戸神社、生石神社、鹿嶋神社、時光寺、曽根天満宮、西光寺 H23.11.06 立石寺根本中堂、山寺日枝神社、山寺千手院、瑞巌寺、天麟院 H23.11.05 中尊寺弁慶堂、中尊寺地蔵堂、中尊寺薬師堂、中尊寺、中尊寺願成就院、中尊寺大日堂、中尊寺阿弥陀堂、中尊寺讃衡蔵、中尊寺金色堂、中尊寺白山神社、高館義経堂、達谷西光寺、毛越寺★ H23.11.03 西院春日神社、法輪寺、竹林寺、大将軍八神社、立本寺、立本寺大輪院、立本寺教法院、浄土院、浄福寺、慧光寺、慈受院、三時知恩寺、下鴨神社、出町妙音堂、吉田神社、満願寺、大統院、五條天神社、法華寺、壬生寺★ H23.10.30 東大寺大仏殿、東大寺四月堂、東大寺二月堂、夫婦大国社、不空院 H23.10.29 生源寺、律院、日吉大社、滋賀院、三井寺観音堂、微妙寺、三井寺唐院、三井寺金堂、三井寺釈迦堂、徳林庵、十禅寺、諸羽神社、大立寺、毘沙門堂、双林院 H23.10.23 今宮神社★、大徳寺真珠庵、大徳寺聚光院、大徳寺総見院、大徳寺瑞峯院、大徳寺興臨院、大徳寺黄梅院、報恩寺、妙顕寺、妙顕寺十乗院、妙顕寺本妙院、妙顕寺恵命院、妙顕寺寶成院、妙顕寺教法院、妙顕寺善行院、光照院、知恩院、東景寺、八坂庚申堂、高台寺★ H23.10.16 浅草神社★、鷲神社★、西久保八幡神社、金地院、天徳寺、真福寺、愛宕神社、梅窓院、長谷寺、真成院、東福院、蓮乗院、四谷須賀神社、永心寺、顕性寺、陽運寺、多田神社、宝福寺、東円寺 H23.10.15 皿沼不動、最勝寺、成就寺、大法寺、平井諏訪神社、真性寺、高岩寺、南蔵院、魚藍寺、済海寺、東京大神宮★、築土神社、靖国神社 H23.10.10 吉備津神社、素盞嗚神社、草戸稲荷神社、明王院 H23.10.09 城興寺、東寺、石上神宮 H23.10.08 隆国寺、日吉神社、高照寺 H23.10.03 報恩講寺、淡嶋神社 H23.10.02 唐崎神社★、長浜豊国神社、知善院、神照寺、総持寺、長浜八幡宮
https://w.atwiki.jp/aizufudoki/pages/285.html
陸奥国 河沼郡 代田組 藤倉(ふちくら)村 大日本地誌大系第33巻 91コマ目 府城の北に当り行程1里。 家数28軒、東西3町・南北1町18間。 四方田圃(たんぼ)なり。 東2町18間駒板村の界に至る。その村は丑寅(北東)に当り8町40間。 西5間余槻橋村の界に至る。その村は戌亥(北西)に当り1町50間余。 南58間倉道村の界に至る。その村は巳(南南東)に当り3町余。 北5町15間塩庭村の界に至る。その村は子丑(北~北北東の間)に当り8町余。 また 戌亥(北西)の方3町27間原村の界に至る。その村まで8町20間余。 村西に米沢裏街道あり。 小名 難波野(なにはの) 本村より4町30間戌亥(北西)の方にあり。 寛政3年(1791年)闢く。 家数6軒、東西58間・南北1町12間。 四方田畝なり。 米沢裏街道の西に住す。 山川 金山川(かねやまかわ) 鹿島川(かしまかわ)ともいう。 村に地1町余にあり。 広2間計。 駒板村の境内より来り、7町50間余西に流れ槻橋村の界に至る。 大工川(たいくかわ) 村北2町余にあり。 広2間計。 塩庭村の方より来り、西に流ること7町計槻橋村の界に入る。 神社 稲荷神社 祭神 稲荷神? 勧請 康元元年(1256年) 村中にあり。 康元元年藤倉三郎盛義勧請せりと云う。 鳥居あり。村民の持なり。 赤呂神社 祭神 不明 鎮座 不明 村中にあり。 祭神及び鎮座の年代詳ならず。 鳥居あり。延命寺司なり。 寺院 地蔵堂 村中にあり 4間四面南向き。 地蔵の座像長8寸、春日作という。 何れの世のいかなる人の開基ということを詳にせざれども、世の伝わる所は大同年中(806年~810年)の創立なりとぞ。 巨宏の構にあらざれど近世の栄作とは見えず、俗に呼て二階堂という。 堂中に松平下野守忠郷の筆跡とて貞享の頃(1684年~1688年)まで左の墨痕ありしとぞ。 郡丹後いつくしさとは承候得共、おとにまてきゝてめにはみす、はかなの心まよいや、なま事のいろをみてたにも、世はみな夢の人〻そと、おもいすつへき事 鐘 1口あり。 径2尺1寸、『寶曆九巳卯夏本願主淺野村束原八郎兵衛俊孝』と彫付あり(寶暦9年=1759年)。 また境内に断碑(だんぴ)1片あり。用水堀の中より移せしという。2尺に1尺計の石なり。上に梵字3字あり、下に『康安元年六月』と彫れり(康安元年=1361年)。 別当延命寺 本堂の東に並べり。 真言宗にて地蔵菩薩の霊場なるにより伽羅陀山延命寺という。 この寺往古より地蔵の別当職にて開基詳ならず。されども世の伝わる所は大同年中の創立なりとぞ。その後頽破(たいは)せしを、延久の頃(1069年~1074年)承惠という僧中興せしが幾程もなくまた衰えしを、天文中(1532年~1555年)賢長という僧修補せりという。賢長が後住賢海当寺より笈川組勝常村勝常寺に移居せしにより今に至てなお末山なり。 本尊大日客殿に安ず。 古蹟 館跡 村中にあり。 遠江守盛連の三男藤倉三郎左衛門盛義(一に盛康に作る)ここの住すという。今は民家となれども三面に土居の形存す。 盛義の事跡(じせき)及び子孫の事詳ならず。 難波池 村東にあり。 池の形僅かに残れり。 皆鶴の古墳とてその傍にあり。一夫の役を免じその墓を守らしむ。 相伝う。昔源義経鬼一法眼の家に伝わる兵書を学ばんことを欲すれども法眼惜て伝えざるにより、その女皆鶴に通じ窃(ひそ)かにその書を写し取て奥州平泉に趣けり。皆鶴その跡を慕いこの村に尋ね来り義経の行方を問う。所の者義経ここを去て既に5日を経たり、行先は山路けわしくして及ぶべからずと言うを聞き身をこの池に投ぜり。義経大寺にてこの事を聞き急ぎ還てなきがらを池の邊に葬り墓を築て去れりという。後人これを憐み、難波寺という一宇を営みてその菩提を弔いしという。 (当村延命寺に伝わるは、義経の妾この地に至り義経高館にて終わると聞き身をこの池に投て死せるに因り、後人憐で一宇を建て居鶴山難波寺と名けしという。按ずるに鬼一法眼及び皆鶴が事東鑑・平家物語・源平盛衰記等に見えず。ただ義経記にその事あれども、法眼が女義経に分れて後なげき死にたりしとありて皆鶴という名もなし。またその趣とも違へり) 今村の東30間計にその寺の遺址といい伝うる所あり。今は畠となりき。 池の傍に古碑1基あり。自然石にて高4尺計。面に『广广(2字分明ならず)五年二月』と彫付あり。 また新に刻める碑あり。其の文如左(※略)。 鏡山 村より7町余東にあり。 皆鶴鏡を埋めし所をいう。 今畠となりその跡僅かに存す。 皆鶴姫 Google Map明呂(赤呂)神社 藤倉二階堂 延命寺 皆鶴姫の碑
https://w.atwiki.jp/aizufudoki/pages/227.html
陸奥国 会津郡 和泉田組 塩岐(しほのまた)村 大日本地誌大系第31巻 137コマ目 この村もと塩野岐に作る。寛文中(1661年~1673年)今の字に改めき。 府城の西南に当り行程19里。 家数9軒、東西20間・南北2町26間。 山間に住す。 東22町和泉田村の山に界ふ。 西1里15町黒谷組黒谷村の山に界ふ。 南4里4町古町組小立岩村の山に界ふ。 北12町20間二間在家村の界に至る。その村まで13町。 小名 八乙女(やおとめ) 本村の北6町にあり。 家数11軒、東西12間・南北3町40間。 山間に住し西に塩岐川あり。 悪戸(あくと) 八乙女の亥(北北西)の方1町にあり。 家居1間、山間に住す。 芦沢(あしさは) 本村の南5町40間にあり。 家数3軒、東西20間・南北1町20間。 山間に住し西に塩岐川あり。 天沼(あまぬま) 芦沢の南4町20間にあり。 家数2軒、東西7間・南北15間。 山間に住し東に塩岐川あり。 間丸貝(ままるかひ) 天沼の南8町にあり。 家数5軒、東西20間・南北30間。 山間に住し西に塩岐川あり。 端村 八塩田(やしほた) 間丸貝の南1里にあり。 家数3軒、東西8間・南北15間。 山間に住し東に塩岐川あり。 間丸貝よりここに至るに、その間川に傍て一線の路を通ずといえども怪岩錯(まじり)出し衆山前に蔽(おお)ひ嶮隘(けんあい)僅に身を容る。或は岩石を伝す、或は渓水を捗り漸くここに至れば、四方少なく闢(ひら)いてあたかも穴中を出るが如し。されども連峯四面に纏(まと)い分け通るべき路なし。人煙四方に絶て別境に入るがごとし。 山川 丸山 村南3里、数山の奥にあり。 頂まで1里。 雑木多し。 銅山 村の戌亥(北西)の方4町、畠福沢(はたふくさわ)という処にあり。 享保中(1716年~1736年)多く鉛銅を採りその後衰廃す。 寛政2年(1790年)より小屋2軒を設て旧坑を穿れども多く出ず。 塩岐川 村東1町にあり。 源を横曽祢山(よこそねやま)という処より発し、畠福沢・滝沢(たきのさわ)これに注ぎ、北に流るること4里20間町余二間在家村の界に入る。 「いはな」・鰥を産す。 辰目沢(たつめさわ) 村より未(南南西)の方4町にあり。 源は境内の山中より出て、寅卯(東北東~東の間)の方に流るること1里、塩岐川に入る。 広1間。 関梁 橋5 一は村北1町40間にあり。長8間。 一は小名八乙女にあり。長8間。 一は小名芦沢にあり。長8間。 一は小名間丸貝の南5町にあり。長8間。 共に塩岐川に架す丸木橋なり。 一は芦沢の北1町10間にあり。 辰目沢に架す。長6間、丸木橋にて村中の通路なり。 神社 日光神社 祭神 日光神? 相殿 八幡宮 日光神 鎮座 不明 小名八乙女にあり。 鳥居あり。界村渡部信濃が司なり。 富士神社 祭神 富士神? 鎮座 不明 村の未申(南西)の方1町にあり。 鳥居あり。村民の持なり。 若宮八幡宮 祭神 若宮八幡? 勧請 不明 小名芦沢の東2町にあり。 鳥居あり。村民の持なり。 山神社 祭神 山神? 鎮座 不明 小名間丸貝にあり。 鳥居あり。村民の持なり。 山神社 祭神 山神? 勧請 不明 端村八塩田の北1町にあり。 鳥居あり。村民の持なり。 寺院 妙雲寺 小名八乙女の東40間にあり。 浄土真宗高田派幽遠山と號す。古町組宮床村安照寺の与力なり。 開基詳ならず。 天文中(1532年~1555年)玄真という僧再興せりという。 本尊弥陀客殿に安ず。 寶物 彌陀畵像 2幅。 一は砂荒佛といい琢磨筆。 一は光明本という裏書あり。如左(〇は虫喰) 天正〇〇〇〇〇乙未いぬ六月廿五日枚恥〇〇國〇越念枝〇〇待村光得〇〇〇 大他本願寺 證如上人 花押 地蔵堂 八乙女にあり。草創の年代詳ならず。 寛文中(1661年~1673年)まで村南にあり。後今の地に移せりという。 Google Map丸山 二荒山神社(日光神社) 富士神社 二荒神社 妙雲寺 八乙女観音堂
https://w.atwiki.jp/aizufudoki/pages/914.html
陸奥国 耶麻郡 塩川組 赤枝(あかえた)村 大日本地誌大系第32巻 48コマ目 この村昔赤井田村という。後今の名に改む。 府城の北に当り行程2里18町余。 2区に住す。 1区は東西2町12間・南北2町9間、家数27軒。 ここより1町計南に1区あり。東西1町・南北30間、家数8軒。 南に田圃(たんぼ)を開き西北は山に傍(そ)ふ。 東2町50間上西連村の界に至る。その村まで15町50間。 南5町13間河沼郡代田組鴨田新田村に界ひ日橋川を限りとす。 北7町10間竹屋・田中両村の山に界ふ。 また 未申(南西)の方10町馬場新田村の界に至る。その村まで17町。 辰巳(南東)の方7町落合村の界に至る。その村まで8町。 この村農隙(のうげき)に山木を伐り板に挽き生計とする者多し。 端村 宮在家(みやさいけ) 本村の南にあり。 家数8軒、東西1町3間・南北55間。 四方田畝なり。 末那板倉(まないたくら) 宮在家より50間余南にあり。 家数5軒、東西1町2間・南北20間余。 南は大谷川に傍(そ)ひ三方田畝なり。 下原新田(しもはらしんでん) 本村より5町20間余未申(南西)の方にあり。 家数2軒、東西22間・南北24間。 北は山に倚り南に田畝を開き日橋川に傍ふ。 切立新田(きつたてしんでん) 本村より15町20間余未申(南西)の方にあり。 家数3軒、東西52間・南北8間余。 北は山に倚り南に田畝を開き日橋川に傍ふ。 山川 赤枝山 村の西北より東の方に繞(めぐ)り、西連山に接し大原山に続きまた金川山に交われり。 この山松に宜く多く美材を出す。 西南隅の山を政宗物見の山といい、天正17年(1589年)政宗この地に乱入せしときこの山に登て四方の地形を望しゆえこの名ありとぞ。 日橋川(堂島川) 俗に堂島川という。 落合村の方より来り、村南を西に流るること9町50間余馬場新田村の方に注ぐ。 大谷川 西連村の方より来り、村の東南を7町40間余流れ日橋川に入る。 広7間計。 関梁 橋3 共に村より12町未(南南西)の方、日橋川に架す。 (河沼郡代田組方便村の条下に詳なり。 若松に行く道なり。 水利 駒形堰 村の未申(南西)の方にて日橋川を引き金川村の方に注ぐ。 狐堰 端村切立新田の東にて日橋川を引き金川村の方に注ぐ。 堤 村より8町子丑(北~北北東の間)の方にあり。 周1町20間計、雄国堰の水を湛ふ。下流また雄国堰となり本組諸村の田地に漑(そそ)ぐ。 神社 八幡宮 祭神 八幡宮? 相殿 伊勢宮 稲荷神 山神 天神 四社明神 鎮座 不明 村より2町亥子(北北西~北の間)の方山麓にあり。 鳥居拝殿あり。北小路大久保播磨仮にこれを司る。 寺院 赤龍寺 村中にあり。 東光山と號す。真言宗府下博労町自在院の末寺なり。 開基の年代詳ならず。 永禄4年(1561年)越後国より永蔵という僧来て住せり。因て永蔵を中興とす。 十一面観音を本尊とし客殿に安ず。徳一の作といい伝う。 寶物 長刀 1振。 昔日橋川を浚(さら)いしとき役夫古き長刀を得て己が家に持帰りしが、夜に入て聲ありしゆえ怖れてこの寺に納めしとぞ(日橋川は天正年中(1573年~1593年)伊達・葦名合戦の地なれば、この川に刀劔の類多く沈みしという)。 地蔵堂 村南にあり。 草創の年代を伝えず。村民の持なり。 墳墓 五輪 村北8町計山道の傍にあり。 高4尺計。その製陋(いやし)からず。よしある人の墓と見ゆ。文字なければ何人の墓ということを知らず。 何の謂れにか土人は白五輪と称す。 傍に一株の松あり。 古蹟 赤井戸 村中にあり。 4尺四方ほどの小池なり。村に災異あらんとするときは水色紅に変じその兆を告しとぞ。今は水涸れて形計のこれり。 畳石(たたみいし) 村東18町、山中にあり。 高2丈余・広5間計。 土人傳て空海の積し壇なりという。初空海この壇を築きしとき、なかばに至り悪鬼来て同くその側に石を積しに成ずしてみな崩れ、空海の積る所は益高くなれりとぞ。 Google Map猪苗代第四発電所 赤枝地区 宮在家地区 末那板倉地区? 下原地区 切立地区? 喰塔山(赤枝山?) 切立橋 駒形堰 始点 狐堰橋 雁ヶ峠堤(村北) 八幡神社 鳥居 八幡神社 赤龍寺 延命地蔵尊
https://w.atwiki.jp/konanrekishi/pages/12.html
『港南の歴史と文化』 著者 伊藤武 発行 港南歴史協議会 仕様・体裁 : A4判、総ページ数 372ページ、表紙 アートポスト紙 ○ 本 文 (1~7章 史跡・石仏 ) : 314頁(スミ印刷) 上質紙、 ○ 口絵、章扉、地図、港南景勝50選:58ページ(カラー印刷)コート紙 定価 3,500円(税込み) 予約申込み 港南歴史協議会 茅野眞一 Tel Fax 045-841-6773 1 港南景勝50選(私選) 区制40周年記念運動として「街自慢」を提唱 港南区内の景勝地をカラー写真で紹介 2 歴史民俗探訪 15話 区内に伝承されている歴史的古事及び民間に 伝えられている風習・風俗 3 史跡・石仏 区内に散在する史跡や石仏(石塔)を個々に 現物写真を掲載して紹介 1章 概要 2章 ~7章 区内を6章に分けて、史跡・石仏 の在所地図を載せて個々に解説 港南区の特色 港南区内を縦断する古三道 1 武相国境道(七里堀通り) ⇒二俣川⇒井戸ケ谷⇒弘明寺⇒別所⇒ 港南区内を縦断⇒円海山⇒鎌倉 2 鎌倉古道下之道 「いざ鎌倉」道として、上・中・下の三 道があった。港南区内を通る下之道は、 保土ヶ谷宿(金沢横町)⇒弘明寺⇒餅井坂 相武山小⇒馬洗川(徒渉)⇒舞岡公園⇒ 中之道と合流して鎌倉へ 3 金沢道 金沢八景を訪ねる観光ルート 保土ヶ谷宿(金沢横町)⇒岩間ケ原⇒南大 田⇒岩井ケ原・千保⇒関⇒笹下⇒能見台⇒ 能見堂⇒金沢(金沢文庫・称名寺・瀬戸方面) 歴史民俗探訪 1話 古道七里堀道・武相国境道 2話 鎌倉古道下之道 3話 金沢道 4話 灯篭流し(大岡川) 5話 大岡川川嶋と北見掃部館 6話 春日神社彫刻(日野) 7話 早駆けの道 8話 塚の古址(日野南・三谷公園) 9話 天谷橋と第六天橋(野庭) 10話 百万遍念仏(下野庭・正応寺) 11話 夏越しの祓い(永谷天神社) 12話 永野村の歴史 (1)永野学校の由来 13話 (2)6代福本与四郎物語 14話 北条氏直館と首塚 15話 地唄 手鍋下げても 史跡・石仏(石塔) 1章 史跡が語る港南区 史跡・石仏の概要 2章 上大岡東、上大岡西、大久保、最戸 3章 港南、笹下 4章 日野、日野中央 5章 港南台、日野南 6章 野庭町、上永谷町、日限山、丸山台 7章 上・下永谷、下永谷町、芹が谷、東芹が谷、東永谷 江戸期の墓制 層塔 皇室関係 宝塔・他宝塔 将軍関係 宝篋印塔 大名等の墓や供養塔 五輪塔 武士の墓や供養塔 自然石による石塔 一般庶民の墓や供養塔 港南区内には、武相国境と鎌倉古道下之道があり、区内のほぼ中央を南北に縦断しています。 また観光名所・瀬戸金沢への往還道も、下之道から分岐し、ほぼ区内を通っています。 平安から近世にかけての武相国境は「武蔵の国」「相模の国」と二つの異なる文化を育み、中世に開鑿された下之道は「いざ鎌倉」道として、更に金沢への往還道は中国の詩人をはじめ、多くの歌人・墨客が来訪しました。 このような背景があるため、港南区には京や江戸文化が早くから持込まれ 発展してきました。 その港南の「歴史と文化」をご紹介したのが本書です。 内容紹介(目次より) 港南景勝50選 1、港南の港が見える丘 2、港南の残照 掲載写真全50選 (カラー) 歴史民俗探訪 1、七里堀・武相国境道 2、鎌倉下之道 3、金沢道 以下15項目 各歴史的解説・探索用マップ(カラー)付 1章 史跡が語る港南区 1 史跡・石仏の概要 1-1 港南区内南北に連なる武相国境 1-2 歴史を語る史跡・石仏 1-3 港南区内の石塔・石仏 2章 上大岡東・西、大久保、最戸 2-1 上大岡一丁目 2-2 上大岡駅東側・合祭壇 中略> 2-13 千手院墓地 2-15 餅井坂 3章 港南、笹下 3-1 岡本橋 3-2 福聚院 <中略> 3-16 成就院 3-17 東福寺 4章 日野、日野中央 4-1 光明寺 4-2 武相国境沿い <中略> 4-13 共同墓地(洋光台西公園先) 4-14 石渡氏宅 5章 港南台、日野南 5-1 共同墓地(四ツ切公園隣) 5-2 港南台七丁目-9 <中略> 5-7 野庭・迎陽トンネル鎌倉街道口 5-8 野庭町三谷町公園 6章 野庭町、上永谷町、日限山、丸山台 6-1 港南図書館・下野庭スポーツ館付近 <中略> 6-12 日限地蔵堂 6-13 丸山台自冶会第二会館敷地 7章 上・下永谷、芹が谷、東芹が谷、東永谷 7-1 永野小学校前交差点、 7-2 柳橋付近 <中略> 7-17 武相国境 芹が谷 7-18 武相国境への古道(山崎宅前) 7-19 武相国境への古道口 7-20 下永谷小学校校庭
https://w.atwiki.jp/sexyvoice/pages/67.html
1-372様 じゃあ、またね の続き 土曜日、子供達の相手をしているロボに付き合って一緒に公園に来ている。 「威一郎兄ちゃんの彼女?」 最初は皆に驚かれた。 「それにしちゃガキじゃん」 などと失礼な事も言われたが、今じゃすっかり馴染んでいる様子。まあ、27歳と17歳じゃ無理もない。 「よーしっ!エンジンマックススタートッ!」 新作のラジコンを掲げて子供達とダッシュでニコを置いて行ってしまった。 「ちょっ……ロボってば、待ってよ!」 半ば呆れながらも、半分諦めの顔に笑いを浮かべながら幸せそうに笑うロボを見ているニコも、 また幸せだった。 なのに、何故だかここの処言い様のない不安がニコを悩ませている。 『えっ、林さんてまだなの?』 学校で恋愛話をする事も多く、まして高2ともなれば一歩踏み込んだ内容もそれとなく入ってくるものだ。 ニコはなるべく苦手なこの手の輪からは外れていたが、ロボと付き合って3ヶ月もなると隠す事でも ないし……と適当に入っていた。 それでこう言われた。 『部屋まで行って何もしないなんて、おかしいんじゃない?』 さすがにニコもこれには反論できなかったのだ。 「ごちそうさまでした!」 食事が済むともう外は真っ暗だった。 「片付けたら送るから」 と慣れた手付きでロボは食器を片付け始める。ニコには疲れたからいいよ、とサッサと流しに立つ。 ベッドに座って枕を抱きながら外を見るふりをしながら、皿を洗うロボをガラス越しに見ている。 「あたし達変なのかな……」 こうしている事がかなりの無防備であるのを友達に指摘された。ロボだって初めから変わったツナギ(!)で 平気でウロウロしていたし、おかしいとか思った事もなかった。 「ねえロボ、エッチな本とか見ないの?」 「なっ!……んなもんあるわけないでしょっ」 慌てて真っ赤になりながら食器を落すまいと必死で言い訳するロボが面白いと思った。 「お嫌いですか?」 「お、お好きです……」 「やっぱスケベじゃん。……ノーマルか」 何なんだよ~と汗を掻きながら背を向けるロボに聞こえないように 「意気地無し……」 呟きながらべぇ!と舌を出した。 「じゃあ明日また行くからね」 「うん、おやすみ」 ニコの家の近所まで車で送ると、チュッと軽くキスをして別れる。明日の約束が確実なものとなった今、 何が足りないというのか、ニコには解らなかった。 「人がどう言おうと関係ないよね……?」 それでも何かがニコの胸を締付けるのを感じずにはいられなかった。 翌朝9時頃にはロボの部屋に足を運んでいた。 「……寝てるし」 だらしなく口を半開きで枕を抱きながらムニャムニャと何かを言っている。 「どれどれ……」 耳を澄ませてみると 「二……コォ、そ、それは……ダメだって」 はあ?とニコはベッド脇に立ち、顔を近付けた。 「なに寝ぼけてんの、起きてよ。ロボったら、ねえ!」 「ん~もお……」 ぐっと腕を掴むとニコを抱き締めた。 「ちょっ……」 思ったより強い力で抱きすくめられて動けない。寝息が耳に当って熱くなる。 思い切ってニコはロボの唇に自分からキスをした。 「んんっ……ん?」 その感触でロボがようやく目を覚ます。ニコが気付き唇を離そうとすると、頭を掴んで更にロボから 強く押付ける。 「おはよ~」 「……もう」 ふふっと笑って朝が始まる。 ニコが作って来たサンドイッチを食べようとコーヒーを淹れるロボに、ニコがさっきの寝言の内容を聞いた。 「いや、あの~」 「言えないんだ?ひょっとしてエッチな夢みてたんじゃないでしょーね」 「うぐっ」 図星?……気になる、と更に切り込んで行く。 「どんなの?怒んないから言ってご覧」 「本当に?」 「うん」 「……ニコが裸で迫って来た夢」 「は、はあぁぁー!?」 大声で叫んだニコにおののいてロボは思わず 「ひっ、ご、ゴメンなさいっ!」 と慌ててコーヒーを置くと後ずさった。 「ねえロボ」 「はい?」 さすがに怒られると思ったのかロボは小さくなっている。 「あたしが本当にそうしたらどうする?」 サンドイッチに伸ばしかけた手をそのままに顔だけニコに向けた。 「どうって……」 ゴクンと生唾を飲む音がした。 「い、いやこれはお腹空いたからで……」 「あたしってそんなに魅力がないの?」 俯きながら呟くニコにロボが戸惑っているのがわかっていても、聞かずにはいられなかった。 少し間を置いてロボが尋ねた。 「何でそんな事言うんだよ……」 ニコは友達との話をかいつまんで話した。 「そんな事気にしてんの?ニコらしくないじゃん!」 「そうだけど……」 「俺が何とも思ってないと思ってるんだ?」 ニコはロボの言葉にドキッとした。 「……俺だって男なんだから、ニコにそんな気ないわけないでしょ」 「我慢……してるの?」 ちょっと顔を赤らめながら聞くが、更に耳まで赤くしたロボが小さく呟いている。 「それほどじゃないけど、自然に任せるっつーか、そりゃ……」 最後の言葉を消し去るようにパクッとサンドイッチを頬張った。 でもニコには聞こえていた。 『そうなりたいって思うよ』 ニコは聞こえないフりしてコーヒーを飲んだ。 「あたし達は、あたし達でいいんだよね……」 「うん。俺達は俺達の味方でしょ?」 ニコは黙ってロボの肩にもたれた。やっぱりロボはロボだ。あたしはこの人が好きだ、と改めてニコは思った。 「おっ、今日は○○戦隊を見なくては!あの合体が超カッコいいんだよね~」 嬉しそうにテレビを点けるロボを見て 「やっぱりロボだ……」 はあああー、と溜息つくのだった。 午後から少し散歩して、買い物に行った帰り道、ふいに襲ったにわか雨で濡れてしまった2人は慌てて 部屋へ駆け込んで来た。 「ニコ、服乾かさなきゃ!」 先にニコがシャワーを浴びて、その間にロボが体を拭いていた。 「あの……何か貸して?」 濡れた髪のままドアから顔だけ出しているニコに一瞬ドキッとしながら、ロボはTシャツを渡した。 その後交代して自分も入ったのだが、入れ替りに出たニコの初めて見る姿に身体の一部が反応するのを 押えることに必死だった。 「もお~、ヤバいって、ダメだって」 頭を抱えながら悶々とするロボの事など知らず、ニコは服を干していた。 ロボが風呂から出ると温かいミルクを淹れて待っていた。2人でそれを飲みながら、雨が流れてゆく窓の外を 眺めている。 ただこうしてぼんやりしているのも幸せだなと思いながらロボがニコの肩を抱いた時、くしゅん、とニコが 小さく揺れた。 「寒い?」 「大丈夫」 迷ったが、 「ベッド入ろ」 とロボはニコの手を取った。 ニコを寝かせて、優しくぽんぽんと頭を叩いた。その手をニコが包む。 「ニコ?」 「ロボ……来てよ」 えっ!とロボはたじろいだ。ベッドに来てって事は……あらぬ妄想が炸裂しそうで頭を振った。 「き、来てって……」 「だってロボは寒くないの?」 はあ?とニコを見ると濡れた髪が首筋に纏わりついてぞくっとした。 「一緒にいたら温かいじゃん」 「そ、そっか、じゃ……」 下心も半分、ただニコを暖かくしてあげたい気持ちも半分。ロボはニコの横へ滑り込んだ。 いつものベッドは2人だと狭いが、ニコの体温は暖かく心地好かった。 シャンプーの香りが、石鹸のと混じりながら鼻をくすぐる。 「ロボの側って落着く……」 胸にくっついて来るニコが愛しいのと、柔らかい肌の感触をもっと感じたいと言う気持ちが一杯になって ロボを突き上げる。 「ロボ……っ!」 気が付けばニコを抱き締めながら、いつもより強く唇を押し当てていた。 「いや?」 見つめる深いロボの瞳に吸込まれそうになりながらも、戸惑いを隠せずにニコはただ黙る事しか出来ない。 そんなニコの不安げな気持ちを察したのか、ロボは身体を離した。 「ゴメン、俺どうかしてた」 「ロボ……」 「もうしないよ。怖がらせて……ゴメンよ」 ニコはロボを傷付けてしまったと思った。嫌じゃない、嫌じゃないのに。 「謝らないでよ」 いつかは、と覚悟はしていたのだから。ただ現実になると、少しは怖いけど。 「嫌じゃないのに……好きなのに、ロボ……」 抱かれたい気持ちは変らない。 「離れないで」 そんなつもりはなかったのに、ニコは泣きそうになった顔を隠したくてロボの背中にしがみついた。 「ニコ」 振り返って頭を優しく撫でながら、 「俺だって怖いんだよ」 と静かに呟いた。 「抱きたいのに、それを口にするとイヤらしいかなとか、ニコを壊してしまうかもとか」 ニコも抱き付く腕に力を込める。 「嫌われちゃうかなとか」 見つめ合いながら強く抱き締め合う。 「それが一番怖いんだよ」 ニコの方からロボに顔を寄せた。 「嫌いなわけないじゃない」 軽くキスをすると、そのままロボはニコを抱き締め、倒れ込んだ。 普通のキスなら何度もしたが、大人のそれはまだだった。 たどたどしく舌をニコの唇に這わせながら、ニコの中に舌を忍び込ませようとする。 「んあっ……」 受け入れようと少し開いた唇から声が漏れる。それに構わず舌に舌を絡ませ、弄ぶ。 首筋から指を這わせ、少しずつ下へと降ろしてゆく。 「ふ、うんっ」 柔らかな膨らみの先にある蕾に触れると、我慢出来ずに塞いだ唇から吐息混じりの声が漏れた。 「ニコ、下着は?」 問われてニコは恥かしそうに答えた。 「だって、濡れちゃったから……」 なるほど、目立たない様に部屋の隅に干してある。 組み敷いた下に目をやると、女の子には大きめな自分のTシャツを1枚だけ羽織ったニコの姿がある。 「何もしてないなんて……」 シャツの上からもうわかる程つんとした蕾を指でつまみ、口に含んでみたりする。 「ん、や、はっ、は、あ、だめっ」 「だめなの?」 そっと胸を包むように手を添えながら顔を覗き込むと、潤んだ瞳でううん、とニコは首を振る。 首筋にキスをしながら、シャツの上から胸をまさぐり、背中、そしてお尻へと手を滑らせる。 「(女の子って柔らかいな……)」 ロボの手がお尻から太股に掛ると、ニコは恥かしそうに身をよじった。 「……ん」 時折漏らす小さな喘ぎにロボは自分の中の欲望が熱く育って来るのがわかる。 「もっと見たい……」 裾から一気に胸の下まで捲りあげる。 「あっ、ちょっ……」 ニコの制止を唇で塞ぎ、露になった全てを抱きすくめた。 「んんっっ……あ、ああ」 始めより更に強く、時に優しく胸を揉みしだく。ますます硬く尖ってゆく尖端の蕾は今にも咲きたそうに ロボの指で弾かれる。 「ニコ、ニコ……」 吸い寄せられるようにロボはその小さく愛しい物を口に含み、チュッと音を立てて吸ったり舐めたりしている。 そんな様子を恥かしいと思いながらも、ニコは嬉しく思えた。 「(可愛い……)」 自分をこんなに欲しがる人がいたなんて。ニコは愛しさと嬉しさに何度も切なく声をあげる。 「……っ、ああ、あ、ロ、ボ……」 柔らかな丘に舌を這わせながら髪を掻き毟られ、ロボの呼吸も熱を帯びてどんどん速くなっていく。 ロボは身体を起こすと着ていた物を下着以外全て取り去り、ニコのも脱がせた。 「み、見ないでよ」 灯だって点けたままなのにと身をよじったニコをそのまま組み敷き、背中に唇を押し当て、舌を這わせる。 「あっ、やあ……んっ」 首筋から肩、背中とゆっくり舌と指を伝うと時折ビクン!と身を震わせる。 「ここ弱いんだ……」 思わぬ弱点を見つけられ、ニコはロボの手に墜ちてゆくのを感じた。 ロボもまたそれを感じ取り、幾度も愛撫を繰り返す。その度背筋に走る感覚にニコは 自分のものではない様な声をあげては応える。 ついに我慢の切れたロボの手が内腿を這うと、柔らかな繁みをまさぐり始めた。 「やぁ、そこは、ダメっ……」 訴えを退けるようにその唇を塞ぎ、ついにその指がその奥へと入り込んだ。 「あ、あーっ、ダメ、ああ、やあんっ……」 ヌルッと滑る花芯の熱い感触にニコは堪らず身をのけ反らせ、 大胆な声をあげる。 「どうして欲しいの?嫌なら、やめようか」 意地悪な質問を投げ掛けながらもその動きは止まる事はない。時折クチュ、と潤った秘部の音が耳に届く。 「どうすんの?」 「ああっ、や、……やめちゃ。いやぁ……」 その訴えを退ける事なくロボはニコの脚を押さえながら、舌をそこに這わせて行く。 ニコの方は恥かしいと思いながらも、押寄せる快感に無意識に腰を浮かしながらロボの頭を掴んで 押し当てようとする。 「どうしたいの?言ってよ」 はあはあと熱い吐息を漏らしながら、 「も、もっと……あたし、を」 壊して欲しい、と告げる前に 「っ!あっ、イッ、……ダメッ!ああああっ!~~~」 「ニコ?」 ビクッ!と身体を震わせたかと思うと小さく開いた唇から僅かな呼吸を漏らせ、 「ロボ……」 と呻きながらガクンとシーツに倒れ込んだ。 呼吸を落着かせた頃に 「大丈夫か」 と尋ねるロボに頷いて、ぎゅっと抱き締め合った。 「あんな所見せちゃった……」 「可愛かったよ。ニコ」 チュ、と優しくキスをしてからロボが問う。 「俺もニコが欲しい」 「うん」 ロボが下着を脱ぐのを何となく見ていると 「も~、そんなに見ないでよ」 と背中を向けて照れているのがちょっと憎らしい。 「あたしにあんな事したくせに……」 だが、それを見た瞬間息を呑んだ。話には聞いていたけど、とニコは顔色を変えた。 「大丈夫かな?……」 「怖い?」 嫌だなんて言えない。言いたくない。ニコは答える代りにキスをして抱き付いた。 「いくよ」 充分に潤ったそこに自身をあてがい、ロボはゆっくり腰を落していったが、なかなか場所が定まらない。 「ゴメン、あれっ?」 慣れてないのだ。何とかしようと頑張っているがうまくいかない。次第に焦り始めた。 「あ、あれ?」 ただ待っていただけのニコだったが、思い切ってロボのそれに手を触れた。 「ここ……」 そっと自分から腰を動かしてその場所へ導こうとするが、その顔は紅く潤んだ瞳が痛々しかった。 「ニコ……ありがとう」 自分を受け入れるために身体を預けようとしているニコがただ愛しくて、ロボは何度も唇を塞いだ。 ニコに手を添えられたまま尖端を押込む。 「あっ、くぅっ!」 初めての侵入に押し開かれる痛みに耐え切れず声が漏れる。 「やっぱりやめ……」 「ダメ。やめちゃやだ」 そんな辛い思いをさせたくないロボの声をニコが遮った。 「あたしが欲しいんでしょ」 「うん」 「なら、このまま。あたしは大丈夫だから」 「ニコ……」 またそのままゆっくりと腰を落す。 グッと狭い中を押し開かれてゆく感覚と味わった事のない痛みが、ニコをさっきの夢の様な感覚から 現実に引き戻す。 「(みんなこんな事してるんだな……)」 クラスの友達の体験談を思い出す。みんなこうして女になっていったんだ……。 「入ったよ」 ロボが動きを止めて囁いた。 「うん」 「いくよ」 最初はゆっくりと、だが段々高まる快感にその動きを速めて行く。 「あっ、あっ、あっ!」 その度に走る痛みに耐え切れず声をあげるニコを気遣う気持ちがありながらも、ロボは快楽に 呑まれてしまう。 「ニコごめんよ、や、止められない……」 ハアハアと熱くどんどん速くなる吐息を漏らしながら突き上げるロボに、ただしがみ付きながら ニコは痛みに耐える。 「いいよ、ロボが気持ちいいなら嬉しい」 その言葉を聞くと同時にロボは大きく震えながら腰を引き、ニコの上に全てを吐きだした。 「ロボで良かったよ……」 「ニコ、俺も」 果てた証しをそっと拭き取り、2人はそのまま抱き合いながら眠りについた。 つんつん、と誰かが肩をつつく。 「ん~ニコ?」 と見ると感触とは反対側にニコは眠っている。 驚いて振り返るとそこには2つの人影が浮んだ。 「よっ」 「お久し振り」 「!!!!よよよっちゃん?社長!」 見ればそこには3年前に別れた地蔵堂の真境名と名梨が正座で待っていた。 「ななな何で~!?いつ来たのっ」 「いやそこはプロフェッショナ~ル♪だから」 はあ?とわけの解らない様子で惚けているロボに真境名が切り出した。 「久しぶりでいきなり何なんだけど、貴方達に頼みがあるのよ~」 「へっ?何で今更そんな事しなきゃなんないんですかっ! 僕らもうスパイじゃないんですよっ」 腕を組んでプイッと横を向いて拒否する。 「あ、そう~。だったらしょうがないわねえ。よっちゃん」 「ハイ。おいロボ」 「何?」 険しいかおで振向くと、名梨の手にした携帯の画面にはロボに抱かれて眠るニコの寝顔が写っていた。 「これ、貴方はともかくニコのご家族に知れたらマズいわよねえ」 「ひっ、酷すぎるう!あんた達に人の愛を弄ぶ権利はないっ!」 「愛だって、ヒュウ」 名梨が茶々を入れて来る。 「ほらほら、大きな声出すと起きちゃうわよ」 スウスウと気持ち良さそうに寝息を立てるニコに目をやると、ロボは言った。 「脅迫なんて、俺の正義の心が許さないんだからね!」 「その正義を貸してちょうだい」 「だ~か~ら嫌だって」 「あっそ。じゃあやっぱり仕方ないわね。よっちゃん」 「ハイ。んじゃこれをニコの親にでも送ってと……」 「あ゛~~~!やります、やるからそれだけはっ!」 仕方なく返事をすると、2人は地蔵堂にいる、と帰って行った。 「はあ~ど~しよ」 あの頃よりは大人になったけど、それでもまだ17歳だもんな……。 ニコとこれからも過ごしたければ、こういう事にも耐えて行かなきゃならないんだ。 「よし、……ニコ、起きろ!一大事だ!!」 「イチゴ味~」 「違うって!」 数分後、部屋から勢い良く飛出して行く2つの人影があった。 「ロボ、出動だよ!」 小さな方の影がそう叫ぶと、そのまま2人は闇に溶け込む。 これからまた、物語は始まる。 「END」
https://w.atwiki.jp/aizufudoki/pages/1023.html
陸奥国 耶麻郡 慶徳組 松野(まつの)村 大日本地誌大系第32巻 126コマ目 府城の西北に当り行程4里33町余。 家数44軒、東西2町18間・南北2町50間。 西は山に続き東北は田畠にて南は渓流を隔て慶徳村に並ぶ。 東11町12間堀出新田村の界に至る。その村まで12町10間余。 西17町34間木曽組小布瀬原村の山に界ふ。 南は村際にて慶徳村に界ふ。その村まで40間余。 北8町宮在家村の界に至る。その村は丑寅(北東)に当り15町30間余。 また 寅(東北東)の方16町6間小荒井組太郎丸村の界に至る。その村まで22町。 端村 舞台田(ぶたいた) 本村より丑寅(北東)の方9町10間余にあり。 家数20軒、東西1町30間余・南北1町余。 四方田畠なり。 昔この村の千光寺盛なりし頃児子舞ということありて、その料に供せし故(ゆえ)舞台田幕内という。後幕内の2字を省く。 六千刈(ろくせんかり) 舞台田の東3町20間余にあり。 家数19軒、東西134町間・南北1町。 四方田畠なり。 水利 畠沢堤(はたさはつつみ) 村より戌亥(北西)の方14町50間余にあり。 周6町50間余。 慶徳村の養水とす。 神社 稲荷神社 祭神 稲荷神? 相殿 伊勢宮 3座 稲荷神 3座 熊野宮 2座 山神 麓山神 御嶽神 山王神 石神 若宮八幡 勧請 不明 村西2町40間、山麓にあり。 鳥居あり。府下材木町鈴木大和が司なり。 ※相殿16座とあるが14座しか記載なし。 寺院 良縁寺 村中にあり。 物寶山と號す。熱塩村示現寺の末山曹洞宗なり。 造建の年月詳ならず。示現寺10世江鷗が開基なり。 江鷗が父を青木勘解由兵衛という。母は佐瀬大學が女なり。 明應7年(1498年)月光口に入と夢で娠(はら)めることあり。夫婦山寺観音に詣で、娠める子若聖子ならば速に産せしむべし。然らずば胎を下らしむること莫(なか)れとて毎日祈誓(きせい)しけるが、月を経て安産しけり。幼くして頴異(えいい)なり。示現寺第7世桃渓に謁し15歳にて薙髪(ちはつ)し関東に雲遊(うんゆう)すること数年、帰て示現寺に住しその後この寺を開基せり。 葦名盛氏その徳を崇敬して田地数町を寄付す。 天正巳丑の兵乱に堂宇燒亡して寺産もまた零落せしが後再興すという。 本尊釈迦客殿に安ず。 地蔵堂 境内にあり。 観音堂 村中にあり。 修験自性院司なり。 本尊はもと千光寺の霊像なり。慶長16年(1611年)8月この像を安置す(下の千光寺跡の条下と併せ見るべし)。 元禄7年(1694年)5月火災ありて、観音・地蔵の両像俱(とも)に灰燼(かいじん)となる。その後星某というもの霊跡の荒廃するを悲て、新に観音の像を造り旧像の余燼(よじん)を軀内に納め小堂を営てこれを安置す。 会津三十三所順禮の一なり。 古蹟 千光寺跡 村の戌(西北西)の方20町余、山中にあり。 或は山寺ともいう。 天平中(729年~749年)釈行基会津郡羽黒山の頂に登り遥に瑞雲の棚引を見てこの地に来たり、一夏の間に弥陀・観音・地蔵の3像を彫刻し1宇を営み慈福山千光寺と名けその像を安置す。また三森山の麓に1院を建立し三森山西蓮寺と號し奥院とす(今村西の山中に遺跡あり)。その後営建(えいけん)年々盛にして僧院300余宇に及べりという。毎年4月17日大齋会あって児子舞などいうこともありしとぞ。 元弘・建武(1331年~1338年)以来兵革(へいかく)打続き堂宇もいつとなく頽破(たいは)し慶長16年(1611年)8月の地震(*1)に盡(ことごと)く顛倒(てんとう)しければ、村南の地に小堂を構て観音・地蔵を安置してこの寺終に絶たり。 その後寛文10年(1670年)正月村民千手堂の跡より1石函(せっかん)を掘出す。中に磬2・特鈷1・銅筒2・大刀5・小刀22・瓶7あり。石函の蓋に『大治五庚戌卯月二日大檀那平孝家散位源朝臣俊邦』と銘あり(大治5年:1130年)。磬・特鈷は新に製れるものの如く、刀劔は鉄気半消したり。村民府に告ければ頓(やが)て旧地埋しという。 最勝寺跡 村より申(西南西)の方2町20間にあり。 金剛山最勝寺とて真言宗の寺なり。 元禄8年(1695年)河沼郡牛沢組朝立村に移す。 館跡 村西40間、山際にあり。 本丸、東西23間・南北35間。 二丸、東西15間・南北30間。 天正中(1573年~1593年)勝(すくれ)次郎某という者住せしという。今畠となる。 Google Map松野地区 舞台田地区 六千刈地区 畑子沢(畠沢堤) 稲荷神社磐越西線の西、おおよそこの辺り。 良縁寺 / 松舞地蔵尊 松野観音 千光寺跡?数回発掘調査は行われているようです。 最勝寺跡? 松野館跡地 金毘羅神社(舞台田) 知賀多神社(六千刈) 不動尊 松野館(さくらとおしろ) 余談。 知賀多神社の祭神は埴山姫命(はにやまひめのみこと)と大物主命(おおものぬしのみこと)の2柱。三重県鳥羽にある賀多神社とは関連が無いようです。 三森山は賢谷村にも記載があるのですが、現在どの山が該当するのかわかりません。
https://w.atwiki.jp/aizufudoki/pages/248.html
陸奥国 若松 郭外 下(した)町 大日本地誌大系第30巻 153コマ目 老町、北小路町、七日町、紺屋町、原町、道場小路、桂林寺町、後分町、諏訪四谷、赤井丁、当麻丁、大和町、融通寺町、西名子屋町、当麻中町、針屋町、善久町 ※国立国会図書館・万翠堂版新編会津風土記より 大町を除き西の町々を総て下町と称す。 また桂林寺町より以西は郭内諏訪神社の後に当る故(ゆえ)後町とも称す。 老(おとな)町 大町の南より西に折れて末は大和町に至る。 東西2町32間・幅3間余、家数31軒。 旧家 川副勘左衛門 その先近江源氏にて備中守時親という者近江国神崎郡川副を領せしより子孫因て市とす。明應の頃(1492年~1501年)裔孫に新太郎連賴という者あり。室町家に仕えて伊賀守に任ぜらるという。永禄8年(1565年)5月19日三好・松長が乱起て後曾孫勘解由賴源蒲生定秀の幕下に属し近江国箕浦の合戦に屢(しばしば)定秀危を援ひ遂に浅井が兵を破りしという。その子政信故(ゆえ)ありて勘気を受け籠居して死せり。因て氏郷勢州(*1)に移封の時も一族従わずして本国に駐れり。政信男子4人女子1人あり。長男を長右衛門(初久八と称す)重良といい蒲生秀行の招に応じ会津に来り岡半兵衛重政が姉を娶れり。今に重政が墓(半兵衛町極楽寺にあり)に彼が家にて香花を供するはこれを以なりとぞ。次男は平左衛門(初小八と称す)信充という。三男を三大夫(初喜八と称す)政國といい、上杉景勝に従い羽州(*2)長谷堂の合戦に打死す。四男を作吾政慶といい初築州(*3)に至り黒田家を干し後仕を辞して会津に来る。女子は徳子と称し豊臣家に官事せり。これ等の因にて天正中(1573年~1593年)諸役免除の書を与えらる。重良が子を源六正勝といい、子孫上杉・蒲生・加藤三家に歴仕し耶麻郡熊倉村を領せしと見え。その村の肝煎赤城長五郎が家に彼が租税を受取りし時の書を蔵む(熊倉村の条下を併見るべし)。加藤家石州(*4)吉長に移りし時彌平次政度といいもの浪人しこの町に住せしより相続て今の勘左衛門政方に至りしという。 寶物 太刀 一口半より折れしものにして『國□』と銘あり。下の文字明ならず。 古布 一町4尺四方計。淡黄に白紋あり。所々に血の染し痕見ゆ。往時戦場にて首桶を裹(つつ)みしものという。 豊臣家文書 一通その文如左 各々儀諸公事に令免除候之間可成其意候也仍如件 天正十貳 筑前守 七月十日 秀吉(印) 徳 母儀 川副久八とのへ 同 小八とのへ 同 作五とのへ 同 喜八とのへ 消息 一通両邊は缺て完からず。左に出す。 ※略 北小路(きたこうぢ)町 老町の北に並び末は西黒川小黒川分の地に通す。 長6町50間・幅4間、家数138軒半(商家宅地の割余を1軒に充ざるものは半軒前と称して課役を弛む。桂林寺町・河原町等比例に同じ)、末は民居に続く(即小黒川分の地なり)長31間・幅3間、家数5軒、北小路四谷という(耶麻郡慶徳組新宮村にこの町と道場小町紺屋町はもと彼地にありし由をいい伝う)。 秤座(*5) この町の南頬にあり。 中村五左衛門という守随彦太郎が出座にて奥州一ヶ所の秤座なりとぞ。 神社 稲荷神社 祭神 稲座明神? 創立 不明 この町の北頬にあり。 相伝う、往古この地に里人多く集り刈稲を商いし故(ゆえ)稲座(いなくら)明神という。慶長の頃(1596年~1615年)までは社木に槻の大樹ありしが火災に逢て枯失せしという。 鳥居あり。安養院司なり。 寺院 安養院 稲荷神社の境内に続く。 山號を稲座山といい醍醐偏知院の末寺真言宗なり。 開基の年代詳ならず。初は郭内延壽寺の地にあり慶長中(1596年~1615年)蒲生秀行より寺領50石を与て祈願所とし忠郷の時今の地に移るという(寺領今はなし)。 本尊観音客殿に安ず。 観音堂 境内にあり。 長福寺 この町の南頬にあり。 萬松山と號す。上野国白井雙林寺の末山曹洞宗なり。慶長3年(1598年)守應という僧開基す。 本尊釈迦客殿に安ず。 観音堂 境内にあり。堂中に姥神の像を納む。 熊野三所宮 境内にあり。災いに罹て再建未だ成らず。 旧家 小池傳吉 世々この町の検断(*6)を勤む。先祖は清和源氏にて小池左近源實利とて甲州小池郷に住し武田信玄に仕ふ。實利が長男を實次といい初め藤七と称し後に理之介と改め会津に来り葦名盛氏の仕え弓大将となる。その次を外池信濃と称し、またその次を内池備後とて2人共に蒲生氏郷に仕えり。女子は金上遠江守盛備に嫁せり。盛氏自筆の文書を以て實次に宅地を与ふ。これよりこの町に住し子孫相伝て今に至れり。盛氏曽(かつ)てその宅に宴し三階の楼に登り歓のあまり筆を援て北大楼といい額を題す。盛氏修理大夫なるにより改て歌之丞と名乗るべき由(よし)を命ず。この時實次貞宗の短刀を献せりという。隆盛の時に故(ゆえ)ありて仕を辞し南山檜原郷に蟄居する事8年、蒲生氏郷封に就て信濃と備後がゆかりによりその名を聞き及でこれを招く。されど實次は盛氏の恩顧厚かりし故(ゆえ)仕る事を願わず固くその聘を辞す。この時氏郷より日月を彫たる硯と三足の蟾蜍(ぜんじょ)(*7)の水滴を与えり(今猶(なお)家に伝ふ)。嗣子雅楽之丞實忠仕て代官たり。實忠死し弟雅楽之丞實家嗣て仕えしが蒲生家絶て浪人しその子傳吉實明加藤家領知を収公せられし時台命ありて諸士の家宅を引受け漆蝋の府を守らしむ。因て官より廩俸を賜りしという。当家入封の後家資を以て新田200石の地を開き闢きし功により寛文7年(1667年)に知行100石を与え丁夫5人を率い戎事(じゅうじ)(*8)従うべきよしを命ぜり。これより今に至てその子孫絶えずここに住し検断を勤む。 盛氏の文書1通を蔵む。その文左に載す。 其方屋敷之事うしろ町に可遺候請󠄁取早々使に被越可在候左候はゝ合可遺候かしこ 止々齋判 小池方へ 赤城惣兵衛 その先藤原氏にて波多野民部大輔経秀が後なりという。永正の頃(1504年~1521年)赤城勘解由忠頼というもの始て上野国赤城に住し後流落してこの国に来り葦名氏に寄食し河沼郡野沢組赤井村に住せり。その子玄蕃忠清中村備中忠義という者の家を継ぎ即夏井村に住し氏を夏井に改めその邊の河井東羽賀及び耶麻郡西海枝萩野等の15ヶ村を領し葦名氏に属し天正17年(1589年)義廣奔敗の後浪人せり。その時伊達氏の与えし文書あり(今はなし)。忠清が子惣兵衛是忠氏をまた城に復しこの町に住す。その子瀬兵衛是村という者ここの名主となり、相続いて今の惣兵衛方敬に至るまで5世なり。 七日(なぬが)町 北小路町の北に並び、大町札辻より西に往く通にて越後・出羽両国に通る街道なり。旅籠屋多し。 長7町16間・幅4間、家数149軒。 西に小黒川分の民家連なる七日町四谷といい長1町12間・幅3間余、家数20軒(即小黒川分の地なり)。 町末より8町1間、高久組高瀬村に界す。 またこの町の末より北小路町に出る小路あり。 寺院 常光寺 この町の北頬にあり。 山號を松林山といい比叡山南光坊の末寺天台宗なり。 開基の初詳ならず(舊事雑考に永和4年(1378年)黒川浄光寺建と記し当寺の事なるべしと伝えり)。 初は律宗なりしが後真言宗となる。元和年中(1615年~1624年)成秀という僧また台家となり僧正天海に謁して叡山の直末となる。因て成秀を中興とす。 本尊弥陀客殿に安ず。成秀護持の像にて古物なり。 寶物 元三大師像 如意輪観音像 不動像 僧正天海文書 吉祥院 この町の北頬にあり。 博労町自在院の末寺真言宗なり。長命山と號す。 越後国の僧弘信という者この地に来り慶長6年(1601年)この寺を建つ。 本尊地蔵客殿に安ず。 地蔵堂 阿弥陀寺 この町より北小路に通ずる小路にあり。 正覺山と號す。下野国真壁郡大澤圓通寺の末寺浄土宗なり。 開基の僧を良然といい真壁郡の産にて本州安積郡郡山無善通寺に住し疾あるにより療治の為会津に来り数年寓居せり。蒲生秀行の家臣倉垣某という者会て良然と方外の知己なりし故(ゆえ)秀行に請て慶長8年(1603年)にこの地に開けり。その時倉田某近江国より来りこの郷に家居せしが資財を出してこれを助く。佛殿衆寮方丈小院巨麗にしてみな備れし。これに於いて圓通寺の末山となり元和4年(1618年)龍象(*9)130余員を集て大法会を設く。4月より7月まで法問を修行す。今に至るまで相伝て浄門の盛事とす。良然後に見性寺を開いて隠居せし。その後当寺火災に燒亡し佛殿衆寮旧の如くならず。唯弥陀の霊像のみ伝て客殿に安ず。良然護持の物という。 稲荷神社 観音堂 供養塔 紺屋(こんや)町 七日町の北に並び大町より西の方大和町に行く通なり。 長2町52間・幅4間、家数46軒。 そのかみこの町に紺掻(こうかき)(*10)多く家す故(ゆえ)に名く。 原(はらの)町 紺屋町の北に並び、長2町53間・幅4間、家数52軒。 そのかみここを闢きし時この地葭原(よしはら)なりし故(ゆえ)町名となりしという。 旧家 國安太吉 姓名の出る所を詳にせず。先祖を清太郎光國といい近江国に住し信濃関の住志津三郎が伝を得て刀剣を鍛ふ。天正18年(1590年)蒲生氏郷に従て会津来り慶長中(1596年~1615年)秀行のために佩刀ならび(幷)矢鏃を製せしに秀行これを喜し世々國安と銘ずべきよしを命じ且(しばら)く扶持米を与ふ。尋て加藤家の時も給米を与えられ当家封に就て月俸を与ふ。今に矢鏃をつくることを業とし家人の列に次せしむ。昔時蒲生家より扶持米を与えられり時の文書家に伝ふ。如左。 ※略 道場小路(だうぢやうこうぢ) 原町の北に並び、長2町53間余・幅3間、家数45軒。 この町郭内に在し時当麻の道場に近かりし故(ゆえ)名けり。或は昔ここに窪道場(赤井丁日光寺これなり)ありし故名けりともいう(この町半より東は上町に隷す)。 寺院 観音寺 この町の北頬にあり。 馬寶山千手院と號す。醍醐三寶院の末山にて会津真言宗四ヶ寺の一なり。 明徳3年(1392年)武田大和守という(何人なる事を詳にせず)者今の鳥居町伊舎須弥神社の邊にこの寺を建立せり。その頃密家の僧に法印仁鑁とて名高き沙門ありしを請して当寺の開山とし天文21年(1552年)葦名遠江守盛舜の臣岡崎某大和田の地(その地を伝えず。河沼郡代田組に大和田村あり。若くは彼地を指すにや)を割て寺領とす。蒲生氏城郭修理の時今の地に移れり。これより先天正巳丑の乱(天正17年=1589年。葦名家と伊達家の戦い)に11世信榮という者難をさけて越後国に逃れし故古記を失て往昔のことみな烏有(うゆう)(*11)せりという。今纔(わずか)に伝るところ古文書数通あり。また鐘一口あり、径1尺2寸余『天和三癸亥歳壬五月廿四日住持沙門秀弘』と彫付あり(天和3年=1683年)。 制札 客殿 庫裏 観音堂 稲荷神社 寶物 和漢朗詠集註 提婆画像 大威徳明王 曼荼羅 画像 愛染明王 古文書 桂林寺(けいりんじ)町 桂林寺町口の郭門を出て北の方七日町に至る。 長5町53間余・幅3間。家数128軒半。 昔何の頃にか桂林寺という時宗の道場(今その地を詳にせず)ありし故(ゆえ)町名とせり。 中程より当麻町に出る小路あり(東黒川千石分の地雑はれり)。 浄光寺跡 この町の北頬隍(ほり)際にあり。 寛文11年(1671年)徒町願成就寺前通に移し蹟を町屋敷とす。 成就寺跡 浄光寺蹟の北にあり。今は護摩堂屋敷と称ふ。 天台宗郭内延壽寺の末山にて山號を如意山といいしとぞ。 開基の始詳ならず。什物に秘密灌頂(かんじょう)式一軸ありて應永25戌亥年(1418年)本寺僧英海より如意山成就寺住持耀海に付属すという奥書ありしという。何のころにか廃して町屋敷となる。 旧家 葉山藤蔵 藤原姓にて先祖を延時という。初左兵衛尉と称し後掃部頭と改む。本州白川の産なり。 四条院延應元年(1239年)南都東大寺の洪鐘を造んとて冶工に命じて鑄さしむるに成らず。この時延時たまたま京師(*12)にありしかば冶工に代り山に入てこれを鎔せしにその功不日に成て頓(やが)て朝廷に達す。因て勅して氏を早山と賜いこれより世々早山氏を称すといい伝う。その後数世の間譜第詳ならず。永正の頃(1504年~1521年)裔孫に掃部助兼次というものあり。始て会津に来りこの町に住し大沼郡高田組高田村文珠堂鐘楼に懸る所の鐘の命に『大檀那平盛高永正十四年丁卯四月十九日大工掃部助兼次』(*13)とあるこれなり。その子掃部助家次といい道金と號す。耶麻郡川西組本寺村恵日寺の鐘に銘あり。その子を主殿助善次といい郭内諏訪神社の鐵燈籠・耶麻郡熊倉組上勝村勝福寺の鐘に銘あり。その子を掃部助吉次といい、これより相襲て世々掃部助と称す。吉次が子を定継といい河沼郡牛沢組柳津村虚空蔵堂の鰐口に銘あり。その子を定次といいこれも彼別当圓蔵寺の鐘に銘あり。これ等みな名を金石に勒して人の知る所なり。定次より今の藤蔵由次に至て15世の間冶鑄を業とし封内寺社の神器佛具を作りその名今に至て見るべし。また傍ら戎器を製す。今月俸を給て家人の列に次せしむ。往昔延時に賜所の綸旨永く伝て家珍とせしが、慶長15年(1610年)3月15日の火災に失えしという。 後分(ごのぶん)町 桂林寺町の末に続き北の方糠塚町に通る路なり。 長2町21間・幅4間、家数13軒。 後町に隷する故(ゆえ)名あり(西黒川赤岡分の地雑はれり)。 寺院 和泉明院 この町の西頬にあり。 道場小路観音寺の末寺真言宗なり。壽寶山と號す。開基を詳にせず。旧東黒川の地にあり(その地詳ならず)。文禄元年(1593年)城郭修理の時この地に移り、本尊不動客殿に安ず。 荒神社 境内にあり。 威徳院 この町の末にあり。 中光山と號す。博労町自在院の末寺真言宗なり。開基の年代詳ならず。昔は郭内諏訪神社の邊にありしが文禄元年(1593年)沙門實尊蒲生氏に請てここに移り堂宇を中興せり。 本尊大日客殿に安ず。 圓福寺 威徳院の南にあり。 真言宗道場小路観音寺の末寺なり。醫王山と號す。文禄元年(1593年)清譽という僧蒲生氏に請て一宇を建立す。また西黒川石堂分の地に地蔵堂あり年を経て毀廃せしかばこの寺に納むという。 本尊大日客殿に安ず。また薬師の像一軀あり。もと東黒川小黒川分の地薬師堂河原にありしを寛文中(1661年~1673年)にの寺に移せりという。 寶物 五大明王画像 一幅。空海筆といい伝う。 諏訪四谷(すはよつや) 桂林寺の南端より郭内諏訪神社の後外隍(そとぼり)に傍(そ)ひ屈折して融通寺町に出る小路なり。 長3町14間、家数22軒。 この地昔は諏訪神社の境内なり。文禄中(1593年~1596年)外郭の隍を堀切し時土居を囘らし郭外に属せしが今に諏訪神社の界域とす。昔よりこの町にて死せるものあれば相聚りてその家を扶(たす)け葬器など自らもちて葬を送る。中程に小路ありて北の方赤井丁に出つ、その東に士屋敷5軒あり(東黒川八角分の地雑はれり)。 Goole Map諏訪四谷集会所 - 集会所前の道が諏訪四谷通り 赤井(あかい)丁 諏訪四谷の北に並び、桂林寺町より西の方融通寺町にゆく道なり。 長3町14間余、家数48軒。 この地葦名盛氏の臣赤井因幡が郎等どもの居し故(ゆえ)この名あり。また西光寺の境内に家数23軒あり窪内(くほのうち)という。 専福寺蹟 この町の北頬にあり。寛文中(1661年~1673年)餌指(えさし)町に移せり。 寺院 西光寺 この町の北頬にあり。 或は窪寺と称す。相州(*14)藤澤清浄光寺の末山時宗なり。山號を平等山という。祖師一遍第30世の法嗣遊行他阿弥が草創なり。縁起を案ずるに永禄9年(1566年)他阿弥本州に来り蘭若を開んとて地を葦名盛氏に請ひ同年この道場を創む。もと大町にあり後にここに移る中ころ災に罹りて古記烏有(うゆう)し事実の詳なることを知らず。 客殿 9間に7間、南向き。本尊三尊弥陀。 地蔵堂 境内にあり。4間に3間。 寛延元年(1748年)結縁のため諸人の請に応じ江戸囘向院に於て開帳す。霊験ありしにより竹姫君より斗帳ならび挑燈(ちょうちん)を賜はる。また地蔵ならび二童子の画像一幅あり今に於て日限地蔵と称し人の帰依多し。 熊野宮 境内にあり。 当麻(たいま)丁 桂林寺町の西に並び、南は赤井丁より北は大和町に続く。 長2町45間余・幅4間、家数78軒。 往古この町に当麻山東明寺ありし故(ゆえ)このなありとぞ(大町東明寺の演技にはこの事伝えず)。 神社 白山神社 祭神 創設 不明 この町の西頬にあり。 滝沢町修験南岳院司なり。社の傍に南岳院が宅趾あり。明和5年(1768年)滝沢町に移りこの地を本山派修験の墓所とせり。 大和(やまと)町 当麻町の末に続き、長4町33間・幅4間余、家数80軒。 町末より西に折れて高久組諸村にゆく道あり。ここより11町59間、中明村に界ふ。この町葦名盛氏の時佐瀬大和が郎等どもを置し所故(ゆえ)この名あり(赤岡分の地雑れり)。 寺院 金剛寺 この町の西頬にあり。 →金剛寺 大安寺 町末にあり。 五之町高巖寺の末山浄土宗なり。念法山と號す。 文禄3年(1594年)岌正という沙門草健す。 本尊弥陀客殿に安ず。 光明寺 この町より高久組にゆく道の北頬にあり。 永禄元年(1558年)慶了という僧草造す。初は郭内五之丁にあり(今その所を詳にせず)。天正9年(1581年)ここに移れり。浄土真宗西本願寺の末寺なり。 本尊弥陀客殿に安ず。 太子堂 境内にあり。 融通寺(ゆつうじ)町 融通寺町口の郭門を出て北にゆき通なり。末は西名子屋に続く。 長3町9間余・幅4間、家数94軒。 そのかみ今の大町融通寺この地に在し故(ゆえ)町名となれり。町の中程より南の方に半兵衛町に出る小路あり。 寺院 城安寺 この町の西頬にあり。 融通寺の末寺浄土宗なり。小舘山と號す。即融通寺の旧地なり。 文禄元年(1593年)融通寺の僧文譽大町に移りしときその徒弟をして住せしめ城安寺と名け相続て今に至る。 本尊弥陀客殿に安ず(融通寺の条下に照し見るべし)。 観音堂 境内にあり 稲荷神社 同上 寶物 幽霊掛軸 一軸。蒲生秀行の乳母の像なりという。その頃はこの寺に住持もなく覺夢という道心者住しけるが彼乳母ゆかりやありけん。兼て身後の事を託しおけり。然るに乳母讒(そし)(り)に遇(あ)(っ)て秀行の母堂に罪を得刃に罹て死せしかば遺言に任せてこの寺に葬りしに妄執霽(は)れざりしにやこの女の幽霊昼夜となく寺中に現はる。因て絵師をして画せしめしという。今もこの画を見るものは必妖(わざわ)(い)ありとて漫(みだ)りに見ること許さず。 大般若経 一巻。光明皇后の御筆という。官醫(かんい)松本善甫寄付なり 旧家 久右衛門 この町に住める蝋燭掛なり。先祖を星久右衛門宗義といい慶長6年(1601年)蒲生家再封の時商家一軒の諸役を免除せられしより世々ここに住し相続て7世の久右衛門義章に至るという。家に蒲生家の文書の写あり。左に載す。 當町蝋燭掛三拾人之事如前々町諸役被成御免候條有其心得可被申聞恐々謹言 町野左近助 判 後霜月廿八日 岡半兵衛尉 判 河野九朗左衛門殿 石岡所左衛門殿 御宿所 西名子屋(にしなごや)町 融通寺町の末に続き赤井丁の角より北の方七日町に出る通なり。 長5町23間余・幅4間、家数84軒。 寺院 長命寺 →長命寺 秀翁寺 この町の西頬にあり。 針西山と號す。大町融通寺の末山浄土宗なり。 文禄2年(1594年)良善という僧越州(*15)より来たり建立すという。 本尊三阿弥陀客殿に安ず。 興性寺 この町の西頬にあり。 東本願寺の末寺浄土真宗なり。 永禄2年(1559年)願明という僧開基し光性寺と號せしを後改て興性寺に作る。初は善久町にあり、元禄6年(1693年)ここに移す。 本尊阿弥陀客殿に安ず。 寶物 弥陀影像 一幅。本山第9世實如の裏書あり。文字消て明ならず。 蓮如影像 一幅。慶長19年(1614年)免許12世教如の裏書あり。 当麻中(たいまなか)町 当麻町より西に折れ末は西黒川分に通す。 長1町48間・幅4間、家数32軒。 当麻町より別るる通故(ゆえ)この名あり。またこの町の中ころより善久町を経て針屋に出る小路あり。中町といい長1町42間、家居1軒(小黒川分の民居なり)。この町の末に続くを家風(けふう)といい、家数2軒。 寺院 長泉寺 この町の南頬にあり。 珠得山と號す。大町東明寺の末山時宗なり。 相伝う、東明寺の中興文峯というもの慶長2年(1597年)にこの寺を建立して退隠の地となさんとせしに明年上杉景勝封に就て眷顧厚かりしかばその旨を請う事を得ず弟子權宗に命じて假に住せしめ同6年(1601年)文峯景勝に随て米沢に移り同12年(1607年)当寺に帰隠し間もなく遷化せり。因て文峯を開山とし權宗を第2世に列すという。 本尊弥陀客殿に安ず。 正蓮寺 この町の北頬にあり。 東本願寺浄土真宗なり。天正元年(1573年)了善という僧本願寺に至り寺號と本尊とを受け地を領主に請て一寺を草創す時に城西河原町にあり(舊事雑考 文禄元年(1593年)の記によれば当寺もと材木町にありしと見ゆ)後今の地に移せり。 本尊弥陀客殿に安ず。 寶物 弥陀影像 蓮如影像 大運寺 正蓮寺の西に並べり。 廣博山と號す。江戸増上寺末山浄土宗なり。元和3年(1617年)寂譽という僧草創す。 本尊弥陀客殿に安ず。 針屋(はりや)町 善久町の北に並び、長2町47間・幅3間余、家数57軒。 そのかみ針屋小路と称す。針工多く住せし故(ゆえ)名くという。 寺院 西蓮寺 この町の北頬にあり。 京師東本願寺の末寺浄土真宗なり。天正2年(1574年)幽善という僧本願寺に至り本尊ならび寺號を請受け帰て当寺を開く。 本尊弥陀客殿に安ず。 寶物 親鸞影像 見性寺 西蓮寺の西に並べり。 山號を願求山という。元和5年(1619年)七日町阿弥陀寺の僧良然が開基にて即彼寺の末寺浄土宗なり。 本尊弥陀客殿に安ず。 観音堂 境内にあり 旧家 吉田甚蔵 その先を甚左衛門某といい世々鍛冶を業とし鎖を製す。天正18年(1590年)蒲生氏郷当郷に封せられしより相続て加藤家の時に至るまで口量を扶助せらる。当家就封の後中絶せしが甚左衛門より8世今の甚蔵明吉に至り廃したるを再興せり。因て月俸を与て家人の列に次せしむ。 善久(ぜんきう)町 当麻中町の北に並び、長42間・幅3間余、家数31軒。 葦名家のころ佐瀬大和が名子(名子とは方言に譜代の男女別宅して世を渡る者をいう)の者居し故(ゆえ)大和名子屋町と称ひしが光法院を善叶(ぜんけふ)寺と號せし故中頃より叶善町と呼びしを後善久に改む。 寺院 法光院 地蔵山と號す。大和町金剛寺の末寺真言宗なり。舊事雑考 文明元年(1469年)の記に密徒宥尊黒川に地蔵山善叶寺法光院を建とあるはこれなり。 本尊地蔵客殿に安ず。 地蔵堂 境内にあり。霊験ありて事を祈るに善叶ひしとて世人叶地蔵という。寺号これに因とぞ。